東日本大震災の土地区画整理事業で被災3県に整備したかさ上げ造成地のうち、3割以上が未活用となっていることが2日、復興庁のまとめで分かった。防災集団移転促進事業に伴う跡地も約3割の利用が見込まれず、同庁は土地バンク創設や企業誘致を念頭に置き自治体支援に乗り出す。
2020年12月末時点の3県の土地活用状況は表1の通り。かさ上げ地に完成した住宅地のうち、全体の31・9%(230・1ヘクタール)が活用されていない。岩手が46・3%(137・8ヘクタール)と突出して高く、宮城は18・9%(69・2ヘクタール)、福島は39・6%(23・1ヘクタール)だった。
3県の自治体で未活用率が高い地区は表2の通り。造成規模が大きい陸前高田市今泉の未利用率が68・9%(21・9ヘクタール)と最も高く、同市高田の61・5%(52・5ヘクタール)、気仙沼市南気仙沼の52・5%(11・4ヘクタール)と続いた。
活用が100%に達した地区は石巻市湊東(15・5ヘクタール)と、東松島市東矢本駅北(13・6ヘクタール)。石巻市新蛇田地区の99・0%(29・6ヘクタール)、名取市閖上地区の96・0%(31・4ヘクタール)なども高かった。
居住に適さず、工場や店舗などの立地を想定する「非住居系」の土地は、全体の37・3%(106・1ヘクタール)が活用されていない。県別では岩手が51・8%(5・8ヘクタール)、宮城が38・6%(97・8ヘクタール)、福島が12・6%(2・5ヘクタール)だった。
集団移転跡地は自治体が地権者から買い取った用地のうち、全体の30・4%(649・0ヘクタール)の利用見込みがない。岩手は42・4%(137・3ヘクタール)、宮城は29・4%(335・6ヘクタール)、福島は26・5%(176・1ヘクタール)に上った。
復興庁は21年度当初予算に、土地活用に向けた支援事業費1億円を計上した。利用計画の策定や土地バンク創設、企業とのマッチングなどを希望する自治体の相談に乗る。1年間で約8地区の支援を想定する。