被災3県の宅地造成完了 計1万8227戸分 陸前高田が最後

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県で、被災者の住宅再建に向けて自治体が整備する宅地の造成が全て完了した。中心市街地が津波に襲われた陸前高田市では、震災から約9年9カ月が過ぎた21日、最後の10戸分の引き渡しが始まった。3県で計1万8227戸分の宅地が造成された。
 各県の宅地数は図の通り。沿岸市町村は高台の切り崩しや津波浸水域のかさ上げで住宅用地を確保。宮城、福島両県は今年3月に全ての造成が終わり、岩手県でも急ピッチで工事が進められてきた。
 陸前高田市は高台を切り開いて集団移転先を整備。中心市街地があった高田地区などでは被災地最大級の土地区画整理事業を展開した。川の対岸の今泉地区の山を削ってベルトコンベヤーで運び、大規模にかさ上げして宅地を築いた。
 本年度は12月までに高田地区で10戸、今泉地区で44戸分を造成。市全体で予定した計1954戸の整備が完了した。年明けにかけ、地権者への最後の引き渡し手続きを進める。
 市市街地整備課の高橋宏紀主幹兼課長補佐は「時間を要したが、ようやく全ての地権者に宅地を引き渡せる。一段落できる区切りを迎えられた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 被災自治体では工事の長期化に伴い、住宅再建を諦めて災害公営住宅への入居を決めたり、都市部などに転出したりした被災者も多く、更地のままの区画が広がっていることが新たな課題となっている。

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