被災3県43市区町村 公立小中学校の新入生13%減

東日本大震災と福島第1原発事故の被害を受けた岩手、宮城、福島3県の43市区町村(仙台市は宮城野、若林両区)で今春、公立の小中学校に入学する予定の児童、生徒は計2万9531人で、震災前の2010年春の新入生(3万4078人)を13.3%下回ることが各自治体への取材で分かった。原発事故の影響で多くの住民が避難を強いられる福島県では2割前後減少する。子どもが域外へ流出している実態が浮き彫りになった。
<統廃合を検討>
 岩手県は沿岸12市町村、宮城県は沿岸16市区町、福島県は沿岸部に警戒区域と計画的避難区域(31日時点)を加えた15市町村を対象に調べた。各教育委員会が3月末までにまとめた新入生予定数と、減少が目立つ主な自治体は表の通り。
 震災前数年間の43市区町村の新入学児童、生徒数は横ばいか多くても年3%程度の減少だった。10%を超える減少の要因は、津波による自宅の流失に加え、保護者の失業などにより転居を余儀なくされた子どもが多いためとみられる。
 市区町村別では、新入生が1割以上減った自治体は27市町村(岩手8、宮城7、福島12)で、調査対象の6割を占めた。
 岩手、宮城両県では津波被害が大きかった自治体で減少が著しく、多くは学校の再編という難題に直面する。
 陸前高田市は被災校を含む小中学校8校を対象に統廃合を検討。宮城県南三陸町や石巻市も被災した一部学校について、統合などを視野に保護者や地域と協議に入る。
<小学校で顕著>
 福島県の状況はさらに深刻だ。原発周辺の自治体の多くは避難先での学校再開を迫られ、8町村は新入生が震災前の半数に満たなかった。
 このうち福島第1原発が立地する双葉町と、計画的避難区域の葛尾村では全小中学校が休校中。町の東半分が警戒区域の浪江町は小中学校9校のうち、再開したのは二本松市に移った2校だけで、2010年度に362人だった新入生は今春、9人になる見通しだ。
 各県とも、中学校より小学校の減少幅が大きい。仙台市宮城野区、若林区では震災前と比べ、小学校の新入生がそれぞれ1割以上減る。
 小、中学校の総児童、生徒の見込み数も10年度と比べ大幅に減少する。小学生は岩手1万2587人(11.9%減)、宮城5万580人(7.1%減)、福島2万6624人(22.1%減)。中学生は岩手7505人(7.8%減)、宮城2万6351人(3.5%減)、福島1万5086人(16.6%減)だった。

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