被災9港湾の岸壁復旧を2年以内に 東北整備局が方針案

 東北地方整備局は18日、東日本大震災で被災した東北4県の9港湾について、2年以内にほぼ全ての岸壁を本格復旧させる復旧・復興基本方針案をまとめた。来週にも方針を決定、公表する。
 9港湾は八戸、久慈、宮古、釜石、大船渡、石巻、仙台塩釜、相馬、小名浜の各港。各港湾で発生した地盤沈下には、基本的にかさ上げで対応するとした。高さは23センチから2.5メートルを見込み、地元港湾利用者の意向を踏まえて調整する。
 今回の大津波で湾口防波堤が果たした一定の減災効果を強調。津波対策として釜石、大船渡両港では、損壊した湾口防波堤を5年以内に復旧させる見通しを示した。
 港の背後地に工場や物流拠点、市街地を抱える仙台塩釜、石巻両港は陸上部分に防潮壁を新たに設け、港湾施設や周辺地域の安全を確保する。
 ソフト面の津波対策も充実させる。検討課題としては港湾での観測情報を即時に伝えるシステム構築を挙げた。港湾機能の早期回復、周辺企業の早期再開に向け、官民連携で業務継続計画(BCP)策定にも取り組む。
 福島第1原発事故に伴う風評被害対策も明記。ホームページなどで荷主や船主に正確な情報を提供し、安定的な輸送量の確保を目指す。
 方針案を協議した検討委員会の稲村肇委員長(東北工大教授)は「一定の方向性や時期を示したことで、復興に向けたまちづくりの進展も期待できる」と話した。

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