見た目が「老けている」人のほうが早く死ぬって本当?

 他国に先駆けて超高齢化が進み、世界中から注目されている日本。その一方で、平均寿命も延びている。2012年の平均寿命は男性79.94歳、女性86.41歳(厚生労働省「簡易生命表」から)。戦後間もない1947(昭和22)年は男性50.06歳、女性53.96歳だった。
 アンチエイジング研究の第一人者である順天堂大学の白澤卓二教授(加齢制御医学)は言う。
「平均寿命が延びるということは、若くして死ぬ確率が下がるということ。老化スピードが遅くなり、戦前に比べて人生が約2倍の長さになりました」
 白澤教授は、デンマークのクリステンセン教授の興味深い研究を紹介する。
「寿命を決めている要因の中で、遺伝的要素は25%に過ぎないことがわかりました。残りは環境要因です」
 つまりお酒やたばこ、睡眠時間などが大きく影響するというのだ。さらに、クリステンセン教授は70歳以上の双子を対象にした研究から、見た目が「老けている」人のほうが早く死亡することを実証したという。
「体内のアンチエイジングも大切ですが、見た目も老化において非常に重要な要素です」(白澤教授)
 なるほど。「見た目」と年齢から思い浮かぶのは、シミ・シワなどの肌の状態や、白髪の有無のほか、ファッションがある。マーケティングライターの牛窪恵さんは指摘する。
「おしゃれ欲が大いに刺激されるなかで若い時代を過ごした最初の世代が、いまの60歳代です」
 67(同42)年に英国人モデル・ツイッギーが来日し、若い女性の間にミニスカート旋風を巻き起こした。70年に「アンアン」、71年に「ノンノ」と若い女性向けファッション誌が相次いで創刊され、その表紙を外国人モデルが飾った。
「ファッションが若返りに与えた影響は大きい。女性は結婚していても精神的に自立し、どんどん積極的にもなって『夫の従属物としての妻』という役割は薄れました。より美しくなろうとエステやスポーツジムに通い始めた。つられるように男性もおしゃれになった。モテ願望から女性の流行を気にします」(牛窪さん)

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