「同居は抵抗あるけど近居なら」―。福井県は2015年度、親世帯の近くに子供世帯が住む「近居」を後押しする。親子の住み方では、いわゆる「スープの冷 めない距離」を望む声が根強いことから、新築や住宅購入費に対して最大50万円を助成する。県は一定のプライバシーを確保しながら子育てや介護がしやすい 住環境づくりを進める考えだ。
県は13年度から、多世帯同居を目的とした住宅リフォームに対する助成事業に取り組んでいる。多世帯同居の場合、子育てや家事を家族同士で協力し合え、夫婦共働きがしやすい。将来的には高齢の親世代の介護にも対応しやすく、独居老人宅が減ることにもつながるという。
ただ、助成事業の申込窓口となる市町に対して「近居は助成対象にならないのか」といった声は少なくなかった。そこで県は、同居でなくても同じ生活圏で暮らすなら、ほぼ同じ効果が見込めるとして、新たに近居のために家を取得する世帯に対する助成事業に乗り出した。
近居の条件は、住居が同一小学校区域にあるか、おおむね車で5分以内(約3キロ程度)の距離にあるかのいずれか。15年度は20戸分を見込んでいる。
これまで実施してきた多世帯同居を目的とした住宅リフォームの助成事業も強化し、金額を1戸当たり40万円から80万円に増やした。利用実績をみると13年度は13戸、14年度は20戸で、15年度は30戸分の予算を確保した。
近居、同居ともに助成金の財源は半分を国の補助金でまかない、残りを県と市町で折半する。このため、各市町で同様の助成制度が導入されることが前提となる。早ければ7月ごろから助成が受けられる市町が出てくる見込み。県は15年度当初予算に850万円を計上している。
本県は3代以上が同居する3世代世帯の割合(3世代同居率)は17・6%で山形県の21・5%に次ぎ全国2位。ただ本県を含め全国的に右肩下がりで推移している。
県建築住宅課は「3世代同居率が高い福井らしい住まい方に加え、近居希望者もしっかりと応援し、家族が互いに支え合う安心感の強い住環境を目指したい」としている。