新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が続く中、住宅街の公園では親子連れの姿が目立つ。
保育園や学童保育が休みになり、公園は貴重な居場所になりつつあるが、役所には「緊急事態宣言が出ているのに」と苦情が寄せられることもあるという。
「集団での利用はご遠慮ください」。ブランコや噴水を備えた東京都荒川区の公園には、入り口に注意を促す看板が設置された。子どもが密集しがちな滑り台などには、使用できないように「立ち入り禁止」の黄色いテープがぐるり。公園を管理する区には「子どもを遊ばせられない」などと苦情が寄せられるが、担当者は「感染拡大の危険性はできるだけ排除したい」と理解を求める。
杉並区では、「緊急事態宣言が出ているのに遊んでいる。どうにかならないかとの苦情が寄せられる」(担当者)という。
一方、小さな子どもを抱える親にとっては、深刻な問題だ。毎日のように2歳の子どもと公園を訪れるという荒川区の30代男性会社員は「家にいる子どものストレス発散を考える」と話す。杉並区の40代女性も2人の子どもと公園に。「夫が在宅勤務になり、子どもが家にいると仕事の邪魔になるから」と説明した。
授業を受け持つ学校が休校となり、収入がゼロになったという英語講師の米国人男性(51)は、7歳の娘を連れ、「他に行く所がなく、毎日来ていたら友達や知り合いが増えた」と、思わぬ楽しみがあったと打ち明ける。
フリーランスでヘアメークの仕事を請け負うシングルマザー(35)は、受注が激減し、3歳児の育児に追われる日々。「『コロナだから家にいて』と言っても子どもはまだ分からない。自分のストレスもあり、外に出してあげたい」と話した。