観光庁 訪日観光客拡大に弾み 中国から1万人社員旅行誘致

 観光庁は29日、中国企業の1万人規模の社員と家族旅行の誘致に成功したと発表した。同庁によると、海外からの社員旅行としては最大規模だ。同庁は、7月1日からの個人観光査証(ビザ)の発給要件緩和と合わせ、訪日観光客誘致に弾みをつけたい考えだ。
 社員旅行で訪日するのは、北京に本社を置く健康食品の販売会社で、社員数は約3000人。家族などを含め総勢1万人が十数班に分かれて来日し、第1陣は10月上旬、東京と大阪からそれぞれ入国、5泊6日の予定で滞在する。東京や大阪で買い物をするほか、浜名湖や琵琶湖周辺の温泉を楽しむ予定という。
 経済波及効果について、日本政府観光局(JNTO)は「少なく見積もっても数億円規模」とそろばんをはじく。今後は日本国内での宿泊施設や交通機関、商業施設の誘致合戦も過熱しそうだ。
 同社は国内外に30回以上、延べ10万人の社員旅行の実績があることで知られ、今回は韓国・ソウル市と日本勢の間で昨秋以来、綱引きを展開した。5月には前原誠司国土交通相らが訪日中の同社幹部に直接、日本観光の魅力をアピールし、「オールジャパン」で営業展開した結果、誘致にこぎ着けた。
 中国からの訪日観光客は今年5月末現在60万人にとどまるが、社員旅行の誘致に加え、目標達成の後押しとなるのは、中国向け個人ビザの緩和だ。溝畑宏観光庁長官はこの日の会見で、「リピーターにつなげるチャンス」と指摘し、年間目標180万人達成に望みをつないだ。溝畑長官は「7月にどこまで伸びるかが、今後の(訪日観光促進の)試金石になる」とし、長官自身が30日から中国に乗り込み、ビザ緩和をPRする

タイトルとURLをコピーしました