教科書会社最大手の「東京書籍」が発行した高校地図の教科書で約1200か所の訂正が生じた問題で、同社は9日、2026年度からこの教科書を廃刊にすると発表した。
この教科書は約3万6000冊発行され、昨年4月から使用されていたが、大量の訂正が生じたため、再配布される異例の事態となっていた。
同社が9日、ホームページ上で明らかにした。問題となった地図教科書「新高等地図」は25年度を最後に発行を停止。小中学校向け地図教科書については再発防止策を講じ、発行を続けるとしている。
問題の地図教科書は20年度の教科書検定に合格し、22年度から全国の高校で使われ始めた。しかし、その直後に高校の教員から誤りがあるとの指摘が寄せられ、同社が確認したところ、大量の訂正箇所が見つかった。南米の「ドレーク海峡」が「マゼラン海峡」、「ナミブ砂漠」が「ナビブ砂漠」、「西岸海洋性気候」が「西海岸性気候」と誤記されるなどしていた。
同社は昨年10月に文部科学省に訂正を申請し、今年1月から訂正済みの教科書を再配布。今年度発行分も訂正済みのものが配られている。
同社は「教科書発行者としての責任を改めて深く自覚し、地図教科書はもちろん、教科書すべての品質の保証に万全を期したい」としている。