訪日客に効果的な情報発信 <ちょっとEはなし> ライフブリッジ代表 桜井亮太郎(仙台市)

2020年にユーチューバーになって3年余りが経過しました。公開した動画は64本。2、3週間に1本、東北をはじめとした地方の魅力や文化を題材に動画を制作し、現在では15万7000人の登録者がいるチャンネルに成長しました。動画は全て英語で制作します。国別の視聴者は多い順に米国、イギリス、オーストラリア、カナダで20、30代の男性が目立ちます。視聴回数の多い動画にはいくつか共通点があります。

 一つ目は日本らしさ。「ゲイシャ」「サムライ」だけではなく、その言葉を聞いた時に日本を想起できるもの全てを指します。例えばラーメン。中国が発祥ですが、日本を想起する外国人は少なくありません。カラオケもしかり。「外国人の視点に立った日本」を常に意識することが大事です。

 二つ目はユニークであること。唯一無二とも言い換えられます。その場所を訪れないと見ること、食べること、体験することができないもの。宮城県では「蔵王キツネ村」(白石市)がこれに当たります。「世界で唯一キツネを抱っこできる場所」。外国人観光客は唯一無二の価値を感じて訪れるのです。

 三つ目は比較できることです。分かりやすく言うと「視聴者が住む国に日本と類似する文化が存在し、それらを比べること」。例えばみそ。「新婚夫婦がそれぞれの家庭で使っていたみその違いが原因でけんかした」という話を聞いたイギリス人が、「そうか!イギリス人にとってのグレービー(肉料理のソース)と同じだ!」と納得し、みそに深い興味を持ちました。私が公開した動画の中でも「日本の選挙」「日本のお葬式」「日本でやってはいけない12のこと」など他国にもある文化や制度を題材とした動画は視聴が多くなる傾向があります。

 皆さんの地域でも三つの共通点に当てはまるものを探してみてください。意外と近くにお宝が隠れているかもしれません。

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 「ちょっとEはなし」は仙台・宮城のビジネスパーソンによる期間限定のエッセーです。

[さくらい・りょうたろう]英リッチモンド大卒。海外のIT企業で働き、1999年に帰国。東京での金融機関勤務を経て2006年、ライフブリッジを創業し、現職。内閣府クールジャパンプロデューサー。50歳。仙台市出身。

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