語り部タクシーに強い味方 タブレット端末導入

東日本大震災の被災地で防災の教訓を伝える「語り部タクシー」を展開する宮城県タクシー協会仙台地区総支部(宮城県仙台市)は、タブレット端末を導入して案内を充実させている。震災から2年4カ月を経て、現地の状況も刻々と変化している。当時の映像を再現し、災害の猛威を感じ取ってもらうのが狙いだ。
 システム構築は仙台応用情報学研究振興財団と宮城復興支援センターが担い、NTTドコモも技術支援した。7インチ画面のタブレットに、名取市閖上地区など宮城県沿岸5カ所で撮影した動画、避難所や仮設住宅の写真約80枚を収めた。
 7月30日には、仙台市内などで語り部5人が参加する研修会が開かれた。5人はタブレットの基本的な操作を学んだ後、若林区荒浜地区と閖上地区を訪問。映像を用いた効果的な案内方法について話し合った。
 昨年10月に語り部となった運転手山本克己さん(60)は「タブレットの操作は簡単で便利。われわれの言葉と合わせ、お客さまに震災当時の状況をダイレクトに伝えられるのではないか」と手応えを感じた様子だった。
 収録データは随時更新する。総支部は語り部約200人を対象に研修を順次開くとともに、県内他地区にもサービスを広げる考えだ。
 復興支援センターの船田究事務局長は「動画の訴求力は大きい。全国から訪れる利用客の防災意識を高め、震災の風化を防ぎたい」と話した。

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