読売 発表! 2022年日本の10大ニュース

【1位】安倍元首相撃たれ死亡

奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説をする安倍晋三・元首相(7月8日)
奈良市の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説をする安倍晋三・元首相(7月8日)

 安倍晋三・元首相が7月8日、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で参院選の街頭演説中、背後から近づいた無職の男に銃撃され、死亡した。

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安倍元首相を銃撃した後、取り押さえられる容疑者の男(7月8日)
安倍元首相を銃撃した後、取り押さえられる容疑者の男(7月8日)

 男の母親は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に1億円以上を献金して破産しており、男は「つながりがあると思った安倍氏を狙った」と供述。事件は世界中に衝撃を与え、各国から弔意が寄せられた。

 警察庁は8月、現場の不手際と計画段階の不備が重なったとする警護の検証結果を公表した。同庁の中村 いたる 長官と、奈良県警の鬼塚友章本部長が辞任し、要人警護の全面的な見直しが行われた。

 9月27日には東京・日本武道館で安倍氏の国葬が営まれ、岸田首相ら「三権の長」や皇族方、海外要人を含む4183人が参列した。

 岸田首相は、歴代最長政権を築いた安倍氏の功績や経済再生、外交での実績などを踏まえて国葬を行うことを早々に決めたが、実施を巡って世論が二分し、内閣支持率下落の一因にもなった。

 逮捕された男は殺人容疑で送検され、刑事責任能力を調べるため鑑定留置となった。

【2位】W杯日本代表16強

スペインに逆転勝ちし、グループリーグ突破を喜ぶ日本代表の選手たち(12月1日)
スペインに逆転勝ちし、グループリーグ突破を喜ぶ日本代表の選手たち(12月1日)

 サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で、森保一監督率いる日本代表は、強豪のドイツ、スペインを撃破し、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ。初の8強入りはならなかったが、世界に日本サッカーの進化を示した。

 7大会連続7度目の出場となった日本は、11月23日のグループリーグE組初戦でドイツから堂安律、浅野拓磨が得点し、2―1で逆転勝ちした。27日の第2戦はコスタリカに0―1で敗れたが、12月1日の第3戦でスペインを相手に堂安と田中碧がゴールを決め、2―1で逆転勝ち。E組首位で2大会連続4度目の決勝トーナメント進出を決めた。

 5日の決勝トーナメント1回戦では、前回大会準優勝のクロアチアと対戦。前田大然が先制点を決めたが同点に追いつかれ、1―1のまま延長戦でも決着がつかず、PK戦で惜敗した。

日本の決勝トーナメント進出を喜ぶサポーターら(12月1日)
日本の決勝トーナメント進出を喜ぶサポーターら(12月1日)

 スペイン戦では、三笘薫のゴールライン際からのアシストを巡り、ボールの端がわずかにライン上に残っていたことが、ビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)による判定で認められ、話題を集めた。また、観客席の清掃を行う日本サポーターの姿に称賛の声が寄せられ、大会組織委員会から表彰された。

【3位】知床観光船 沈没事故

作業台船によってつり上げられる観光船「KAZU I」(5月26日、北海道斜里町沖で)=本社チャーターヘリから
作業台船によってつり上げられる観光船「KAZU I」(5月26日、北海道斜里町沖で)=本社チャーターヘリから

 北海道・知床半島の沖合を航行していた観光船「KAZU I(カズワン)」が4月23日、「船首が沈んでいる」との通報を最後に消息を絶ち、6日後に水深約120メートルの海底で船体が見つかった。沈没事故により、乗客乗員のうち20人が死亡し、6人の行方がわかっていない。

 運輸安全委員会は今月、経過報告書を公表。船首甲板のハッチに不具合があり、高波の揺れで開いたハッチから海水が流入し、沈没に至ったとする分析を示した。

 カズワンが航行していたのは、半島西側の約80キロをめぐる所要3時間のコース。出航当日は強風・波浪注意報が出されていて、天候の悪化が予想されたが、船長は同業者からの助言を無視して出航に踏み切っていた。

 運輸安全委は、カズワンの運航会社「知床遊覧船」(北海道斜里町)の社長らが中止の判断をしなかったことも事故の一因と判断。第1管区海上保安本部が社長らを業務上過失致死容疑で捜査している。

 この事故では、同社のずさんな安全管理が次々と判明しており、国土交通省は6月、同社の旅客船事業許可を取り消した。

【4位】大谷 2桁勝利2桁本塁打

「2桁勝利、2桁本塁打」を達成した大谷翔平(8月9日、米オークランドで)
「2桁勝利、2桁本塁打」を達成した大谷翔平(8月9日、米オークランドで)

 米大リーグ・エンゼルスの大谷翔平が、8月9日のアスレチックス戦に先発投手兼2番指名打者で出場して10勝目を挙げ、「野球の神様」と呼ばれたベーブ・ルース以来、104年ぶりとなる「2桁勝利、2桁本塁打」を達成した。10月5日の試合では、現在の大リーグ史上で初めて、規定投球回(162)と規定打席(502)の両方に到達した。

 メジャー5季目の大谷は、投手として15勝を挙げ、防御率2・33で219奪三振。打者としては打率2割7分3厘、34本塁打、95打点をマークし、投打ともにア・リーグトップクラスの成績を収めた。

 最優秀選手(MVP)への選出が期待されたが、ア・リーグ最多記録の62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)が選ばれ、大谷の2季連続受賞はならなかった。

【5位】村上 56本塁打・三冠王

日本人記録の56号本塁打を放ち記念ボードを持つ村上(10月3日、神宮球場で)
日本人記録の56号本塁打を放ち記念ボードを持つ村上(10月3日、神宮球場で)

 プロ野球・東京ヤクルトスワローズの村上宗隆が10月3日、横浜DeNAベイスターズ戦で、シーズン56号となる本塁打を放ち、1964年の王貞治(読売巨人軍)の55号を超え、日本選手の最多本塁打を更新した。

 村上は打率3割1分8厘、56本塁打、134打点と、全てリーグトップの成績を残し、史上最年少(22歳)の三冠王に輝いた。8月にはプロ野球新記録となる5打席連続本塁打も達成した。

 その活躍ぶりから「村神様」の呼び名がインターネットなどで広まり、「2022ユーキャン新語・流行語大賞」(「現代用語の基礎知識」選)の年間大賞に選ばれた。

【6位】円安1ドル150円突破

1ドル=150円台に円安が進んだことを示す為替のボード(10月20日、東京都港区で)
1ドル=150円台に円安が進んだことを示す為替のボード(10月20日、東京都港区で)

 日米の金利差拡大を背景にドルを買って円を売る動きが優勢となり、10月20日の東京外国為替市場で円相場が一時、1ドル=150円台まで下落した。バブル期の1990年8月以来、約32年ぶりの円安水準を更新した。政府・日本銀行は急激な円安を食い止めるため、円買い・ドル売りの為替介入を実施。9月下旬から10月末にかけて、総額で約9兆円を投じた。

【7位】北京五輪 冬季最多メダル

冬季五輪北京大会の閉会式で入場する日本選手団(2月20日)
冬季五輪北京大会の閉会式で入場する日本選手団(2月20日)

 2月4日に開幕した第24回冬季五輪北京大会で、日本選手団は、冬季大会で最多となる計18個(金3個、銀6個、銅9個)のメダルを獲得した。2018年平昌大会の13個を上回った。

 スピードスケート女子の高木美帆は金1個と銀3個、スキージャンプ男子の小林陵侑は金1個と銀1個、スノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢も金に輝いた。同女子ビッグエアで、17歳で銅を獲得した村瀬心椛は、冬季大会で日本女子最年少メダリストとなった。

【8位】旧統一教会 政治問題化

「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の本部事務所(東京都渋谷区で)
「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)の本部事務所(東京都渋谷区で)

 安倍晋三・元首相の銃撃事件をきっかけに、「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)による高額寄付被害が明らかになった。選挙などを通した政治家と旧統一教会との接点も相次いで浮上し、政治問題に発展した。

 9月に自民党が公表した調査結果では、所属国会議員179人と旧統一教会との接点が判明。国会でも連日、この問題が取り上げられ、岸田首相は10月、相次いで発覚した関係について曖昧な答弁を繰り返した山際大志郎経済再生相を更迭した。

 11月22日には永岡文部科学相が宗教法人法に基づく質問権を初めて行使。国会では12月10日、高額寄付被害救済・防止法が成立した。

【9位】藤井竜王 最年少五冠

王将戦七番勝負に勝利し、最年少で五冠を達成した藤井聡太竜王(2月12日、東京都立川市で)
王将戦七番勝負に勝利し、最年少で五冠を達成した藤井聡太竜王(2月12日、東京都立川市で)

 将棋の藤井聡太竜王が2月12日、王将戦七番勝負で、渡辺明名人に4連勝してタイトルを奪取した。19歳6か月で、史上初となる10代での五冠を成し遂げた。10~12月に行われた竜王戦七番勝負では初防衛に成功。王位、叡王、王将、棋聖とあわせ、五冠を堅持した。来年1月から羽生善治九段と王将戦七番勝負を戦うほか、今期の棋王戦や名人戦でもタイトル挑戦の可能性が残っており、史上初の八冠への期待が高まっている。

【10位】コロナ感染 1日10万人

BA・5対応ワクチンの接種を受ける男性(10月14日、東京都新宿区で)
BA・5対応ワクチンの接種を受ける男性(10月14日、東京都新宿区で)

 新型コロナウイルスの「オミクロン株」が年明けから流行し、感染拡大の第6波のピークを迎えた2月5日、国内の1日の感染者数が初めて10万人を超えた。夏には、感染力の強い同株の新系統「BA・5」が猛威を振るった。7月14日には感染者の累計が1000万人を突破し、同23日に1日の感染者数が初めて20万人を超えた。

 一方で、ワクチン接種が進んだことなどで重症化リスクや致死率は大きく低下した。政府は9月、全ての新型コロナ感染者を把握する「全数把握」を見直した。10月には水際対策も大幅に緩和された。

1~30位ニュース一覧

(数字は得票数。カッコ内は有効投票に占める割合)

1位 安倍元首相が撃たれ死亡、9月に国葬 24,254(91.2%)

2位 サッカーW杯で日本代表熱戦 20,059(75.4%)

3位 知床観光船沈没事故 17,601(66.2%)

4位 大谷翔平、ルース以来の2桁勝利2桁本塁打 14,690(55.2%)

5位 ヤクルト村上が56号本塁打、三冠王 14,085(52.9%)

6位 32年ぶり円安、1ドル=150円突破 12,708(47.8%)

7位 北京五輪、日本勢のメダル冬季最多 12,374(46.5%)

8位 旧統一教会が政治問題化、文科相が質問権行使 11,237(42.2%)

9位 藤井聡太竜王が最年少五冠 10,106(38.0%)

10位 新型コロナ感染者、1日あたり10万人超え 10,005(37.6%)

11位 物価高騰、商品値上げ相次ぐ 8,761(32.9%)

12位 改正民法施行、成人年齢18歳に 8,411(31.6%)

13位 五輪汚職、組織委元理事ら逮捕 8,220(30.9%)

14位 3歳女児、通園バスに取り残され死亡 7,413(27.9%)

15位 ロッテ・佐々木朗希が完全試合 6,773(25.5%)

16位 北ミサイル発射相次ぐ 6,215(23.4%)

17位 山口・阿武町が4630万円誤給付 4,754(17.9%)

18位 夏の甲子園で仙台育英優勝、東北勢初 4,308(16.2%)

19位 アントニオ猪木さん死去 4,241(15.9%)

20位 宮城・福島で震度6強、新幹線脱線 3,498(13.1%)

21位 オリックス26年ぶり日本一 3,348(12.6%)

22位 作家・元都知事の石原慎太郎さん死去 3,335(12.5%)

23位 沖縄本土復帰50年 3,313(12.5%)

24位 大学入学共通テスト、問題流出 3,032(11.4%)

25位 辞任ドミノ、閣僚更迭相次ぐ 2,976(11.2%)

26位 羽生結弦、プロ転向を表明 2,867(10.8%)

27位 iPS細胞で慶大が世界初の脊髄治療 2,648(10.0%)

28位 KDDI、全国で通信障害 2,636(9.9%)

29位 「ドライブ・マイ・カー」が米アカデミー賞 2,548(9.6%)

30位 北京パラ、日本勢メダル7個 2,323(8.7%)

過去5年トップ3

■2021年

〈1〉大谷翔平、メジャーMVPに

〈2〉東京五輪、日本は史上最多58メダル

〈3〉新型コロナワクチン接種開始

■2020年

〈1〉新型コロナ感染拡大、緊急事態宣言発令

〈2〉東京五輪・パラリンピックが延期に

〈3〉菅首相誕生、新内閣が発足

■2019年

〈1〉天皇陛下が即位。「令和」に改元

〈2〉ラグビーW杯日本大会開幕、日本8強

〈3〉京都アニメーション放火、36人死亡

■2018年

〈1〉平昌五輪で日本は冬季最多13メダル。フィギュア・羽生結弦は連覇

〈2〉西日本豪雨、死者220人超

〈3〉日大アメフト部選手が危険タックル。スポーツ界で不祥事相次ぐ

■2017年

〈1〉14歳棋士、藤井四段が29連勝の新記録

〈2〉天皇退位特例法が成立。19年4月末退位、5月改元へ

〈3〉横綱日馬富士が暴行問題で引退

全て的中11通

 2022年の「日本10大ニュース」には12月3日~19日の募集期間に2万8450通の投票があり、うち有効は2万6606通でした。読売新聞オンラインの「よみぽランド」からの投票は1万6333通で、有効投票の61%を占めました。全項目的中は11通で、11人に賞金を贈ります。また、9項目的中者の中から抽選した100人に賞品を贈ります。

投票70歳以上が26%

 有効投票の年代別構成比をみると、70歳以上が26%で最も多く、60歳代の25%、19歳以下の21%、50歳代の17%などが続いた。

 読売新聞社が小中高校の教職員向けに新聞記事を使った教材を配信する「読売ワークシート通信」の活用校を含め、全国47の小中高校・専門学校から計5449通の投票があった。茨城県つくば市の市立高崎中の生徒からは、「いろいろなニュースに触れることで世の中の状況がわかった。これからも新聞などでニュースをたくさん見ていきたい」といった感想が寄せられた。

※文中と写真の日付は現地時間、肩書は当時

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