謎が多い「猫の集会」 無理に解散させる必要はなし

多くの人にペットとして親しまれている猫だが、その行動についてはまだまだ謎が多い。そのひとつが「猫の集会」富山県に住むパート勤務のESさん(45才)から、こんな相談が届いた。

「夕方、自宅の裏の空き地に10匹あまりの猫がよく集まっています。一緒に遊ぶわけでもなく、ただ座っているだけです。一体、何をしているのでしょうか? 無理に解散させない方がいいのでしょうか?」

この相談に対して、東京港区に猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」開いた国際猫学会ISFM所属の山本宗伸さんが回答する。

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公園や駐車場、路地裏などに集まってくる猫たち。この“猫の集会”に関して、動物行動学の教科書には、「縄張りの中立地に地元の外猫が集まり、約4mの距離を保ち、緩やかな円を描いて座る」と記述されています。

集会は、夕方や夜に開かれることが多いようです。数時間続くこともありますが、基本的に猫同士の接触はなく、終わるとそれぞれの縄張りに帰って行きます。鳴いたり、威嚇行為などもありません。

なぜ集まっているのか、動物行動学者でさえも、その謎を解明できていません。しかし、わざわざ集まるのですから、意味があるのでしょう。ですから、誰にも迷惑をかけていなければ、解散させない方がよいでしょう。

◆猫は群れを嫌う動物。集まるのには理由がある!?

猫は、成長期を終え、母猫と離れた後は、発情期などの特殊な場合を除いて、他の猫と接触することはなく、本来単独で行動する動物です。

しかし、ここ数十年で猫が暮らす環境も大きく変化しました。都心に暮らす野良猫は、自分でねずみを捕まえることもありますが、多くはご飯をくれる人間や残飯に頼って生きています。そのため、狭い地域に多くの猫が集まらざるを得ないようになりました。そんな環境下で、他の猫と遭遇するたびに縄張り争いのけんかをしていては身がもちません。

その結果、これまでお互いに干渉する必要がなかった猫の世界にも“社会”が生まれ、集会を行う必要が出てきたのではないでしょうか。

◆近所に誰が住んでいるか顔合わせ的な役割も

猫の社会では体の大きなおす猫が支配的な振る舞いをすることはあっても、犬や猿のような絶対的なリーダーは現れません。ですから猫の集会は、地域の猫同士の顔合わせのようなものと考える方が適当ではないでしょうか。

稀に親子で集会に参加する猫たちの姿を見かけます。近隣地域で新しい家族が増えていないか、反対に長老猫が元気にしているのか、確認しているのかもしれませんね。

いずれにせよ、猫の集会は謎に包まれています。ぜひ一度猫のフリをして紛れ込んでみたいものです。

※女性セブン2016年12月15日号

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