18日深夜、仙台市青葉区本町2丁目の「三井ガーデンホテル仙台」などが入る複合ビル(18階)で起きた突然の揺れは、ビルの制震装置の誤作動が原因との見方が強まっている。揺れを感知していないのに、装置が動いて建物を揺らしたとみられる。装置は全国のビルで導入例があるが、専門家は「誤作動は珍しい」と驚く。
18日午後11時ごろ、15階に宿泊していた女性(44)は建物自体がギシギシと揺れ始めていることに気付いた。「長い横揺れ。建物が壊れてしまうのではないかと不安になった」。宿泊客372人が一時、屋外に避難。女性1人が転んで腰に軽いけがを負った。
その後、ホテルのスタッフがビルの屋上にある制震装置の誤作動を確認。午前0時半ごろに停止させると揺れは収まった。ホテル運営会社の担当者は「2009年の開業以来、誤作動は初めてだ」と語る。
制震装置は油圧ダンパーなどで揺れを吸収する「パッシブ型」と、重りの動きで揺れを抑制する「アクティブ型」がある。
複合ビルの屋上に設置されていたのは「アクティブ型」。センサーが強風や地震による揺れを感知し、一定のレベルを超えると装置が起動して重りが前後左右に動き出す。この重りの反力で強風や地震の揺れを吸収する仕組みだ。
ただ、当時は地震もなく、強風も吹いていなかった。東北大災害科学国際研究所の五十子(いかご)幸樹教授(耐震工学)は「誤作動は全国的にも聞いたことがない。非常にレアケースだ」と語る。
原因として、揺れを感知するセンサーが劣化してノイズが入ったことや、制御するコンピューターが古くなった可能性などを挙げるが「情報が少なく、なぜ誤作動したのかは分からない」としている。
このトラブルを巡っては、建築関係者や研究者らでつくる一般社団法人日本免震構造協会(東京)も関心を示し、関係者にヒアリングするなど調査を開始。仙台市建築指導課もホテル側の調査が終わり次第、原因の報告を求めるという。