謎の洞窟が仙台・秋保に 旧陸軍の弾薬庫か

仙台市太白区秋保町の戸神山(とがみやま)の南麓にあり、旧陸軍が太平洋戦争中に掘った洞窟を、地元のまちおこし団体「秋保地域資源活用委員会」が調査している。弾薬庫跡と伝わるが、遺留物や文献記録などは残されていない。メンバーらは現地調査や高齢者への聞き取りを進め、謎の解明に挑む。
洞窟は太白区秋保総合支所の北約2キロの旧道沿いに位置し、崩落が進んでいるが4カ所の入り口を確認できる。つるはしなどを使って手作業で掘られたとみられ、高さ約2メートルの横穴が続いている。暗がりにはコウモリが生息する。
内部の数カ所で枝分かれし、総延長は不明。近くで育ったという農業伊藤正則さん(62)は「全部で数百メートルはあるだろう」とみる。
伊藤さんの父の安男さん(85)によると、掘削作業は1943~44年、宮城野区の榴岡公園に本拠地を置いた第2師団歩兵第4連隊が担った。
安男さんを含め当時の国民学校高等科の生徒が資材を運搬したり、弁当を届けたりした。洞窟の中には弾薬や砲弾、手投げ弾、ドラム缶などが運び込まれたという。
兵士たちは、秋保小と青葉区の上愛子小に寝泊まりして掘削に従事した。安男さんは「その代わり、子どもたちは地元の寺院で勉強した」と振り返る。
地域住民約20人で構成する活用委は3月上旬、地元町内会と協力して戸神山周辺の散策路に案内標識を設置。洞窟など山の周辺を取材し、執筆したパンフレットも3月下旬に完成する。
庄子敏明委員長は「洞窟をさらに調査し後世に記録を残したい」と語り、戦時中の情報を求めている。連絡先はパンフレット発行元の秋保総合支所総務課022(399)2111。

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