ネット通販大手アマゾンと出版大手・講談社が今月から、取次会社を経由しない「直接取引」を始めたことが関係者への取材で分かった。消費者に本を届ける日数の短縮やコスト削減を狙う。取次会社などに衝撃が広がっている。 【図】出版流通の仕組み 「異例」直接取引の背景は 出版流通では、書店と出版社の間に問屋にあたる取次会社が入って全国に本や雑誌を配送する。ネット書店のアマゾンも取次会社から書籍を入手し、消費者に届けてきた。今回、講談社から直接、取り寄せることで、日数の短縮が期待される。 アマゾンジャパン広報部は直接取引の意義について「豊富な品ぞろえとお客様への迅速な配送が可能になる」としている。 直接取引の当面の対象は人気の3シリーズ「講談社現代新書」「ブルーバックス」「講談社学術文庫」の既刊本。効果を見極めた上で他の書籍や新刊本への拡大を検討する。 アマゾンは従来、取次大手の日本出版販売(日販)などと取引する一方、講談社以外に約3千社と直接取引をしてきた。ただ、業界をリードする講談社が直接取引に加わったことに、「異例の事態で衝撃は大きい」(取次会社幹部)と波紋が広がる。 講談社は2016年、アマゾンの電子書籍読み放題サービスから1千超の作品が削除されたとして強く抗議するなど、両社は緊張関係にあった。(赤田康和)