貞山運河を地域振興に活用しようと、宮城県塩釜市の市民らが「貞山運河プロジェクト」を発足させた。勉強会を重ねて日本最長の運河の歴史を学んだり、船に乗って視察したりしている。将来、運河に船を浮かべ、運河沿いの自治体の交流人口を増やす構想も温めている。
貞山運河は、石巻市の旧北上川から岩沼市の阿武隈川までの間にある二つの運河と三つの堀の総称で、総延長49キロ。5月27日はメンバー5人が船に乗り、塩釜と七北田川河口を結ぶ御舟入堀を視察した。
塩釜側から多賀城市を経由し、仙台港に抜け、塩釜に戻る約5キロをたどった。御舟入堀は江戸、明治時代、コメや塩を仙台へ運ぶ大動脈で、メンバーの一人は「江戸時代の様子を想像し、タイムスリップできた」と感激したように話した。
ほかのメンバーも「運河に沿った工業地帯の夜景は観光資源になる」「ガイドを付けて船の試乗会を企画してはどうか」と意見を出し合った。
プロジェクトは昨年12月に発足。歴史を学ぶ勉強会を開いたほか、バスに乗って地形を知る研修を実施した。代表の武田せつ子さん(塩釜市)は「まずは船で 御舟入堀を旅するルートを開拓し、交流人口を増やして地域ににぎわいをもたらすのが目標。運河の開削を始めた伊達政宗公の偉業を伝えたい」と話す。
28日は塩釜市内で、貞山運河研究会(仙台市)副理事長の佐藤彰男氏を招き、貞山運河を生かした地域振興をテーマに勉強会を開く。申し込みが必要。連絡先は武田さん090(7664)6491。