貞山運河を再生の中心に 宮城県が素案、防災と景観両立

宮城県は4日、貞山運河を中心に、東日本大震災で被災した沿岸部の再生、復興を図るビジョンの素案を明らかにした。運河の震災の記録と仙台藩祖伊達政宗が開削を始めた歴史遺産としての価値を後世に伝え、津波被害を軽減する防災機能を強化する。県民の意見も踏まえ3月末までにビジョンを策定する。
 基本理念は震災を教訓に設定。沿岸部の治水や防災の機能を高め、運河周辺の自然環境や歴史的な景観を守る。
 基本方針には人と自然、歴史を調和させる魅力的な沿岸地域の復興を掲げる。地盤沈下で拡大した沿岸部の海抜0メートル地帯などの津波、洪水対策への備えも重視する。
 ビジョンの取り組みは2015年度までの短期、16~20年度の中期、21年度以降の長期に分類。国や県、市町、民間の試みを連動させる。
 短期の期間中は運河の減災効果を念頭に置いた災害復旧と周辺のまちづくり、防潮林再生、農地復旧を一体で進める。中期では運河と自然環境が調和する「集いの場」を再生。長期は開削400年の歴史を未来につなぎ、100年先を見据えた事業を検討する。
 素案は4日に仙台市であったビジョンを話し合う座談会の第2回会合で県が示した。
 橋本潔土木部長は「運河の活用は、防潮堤や道路のかさ上げで津波を軽減するまちづくりと一体で考え、新たな歴史をつないでいく」と話した。

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