農林水産省の農林水産政策研究所は、自宅から生鮮食料品を扱う店まで500メートル以上あり、自動車を持たない65歳以上の「買い物難民」が2025年に全国で598万人にのぼり、10年の382万人から200万人以上増えるとの推計をまとめた。
食料品店の減少や大型商業施設の郊外化などに伴い、過疎地だけでなく、都市部でも増える見込みだ。
推計は、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口や経済産業省の商業統計などを基に、人口の集中する「都市的地域」と、それ以外の「農村地域」に分けるなどして算出。買い物の利便性を向上させる対策の効果などは考慮しなかった。
推計によると、買い物難民は、「都市的地域」と「農村地域」のいずれでも増加する。より顕著なのは「都市的地域」で、10年の181万人が25年には349万人とほぼ倍増し、「農村地域」の249万人も上回る。東京、神奈川、千葉、埼玉の「東京圏」も10年の76万人が25年には156万人に倍増する。
都市部で買い物難民が増える理由について、農林水産政策研究所は「高度成長期に増えた生鮮品を扱う専門店が、店主らの高齢化に伴い減り続けていくとみられるため」とする。