東日本大震災で被災し宮城県石巻市の仮設住宅で暮らす住民の3割以上が「仮設住宅から移る見通しが立たない」と生活再建に不安を抱いていることが、石巻専修大の山崎泰央教授(ベンチャービジネス論)の研究室が実施した意識調査で分かった。
市内では、4000戸が整備される災害公営住宅の入居が2014年度から本格化する。各地で造成工事が進む防災集団移転促進事業による宅地供給も14年度に始まる。
調査結果によると、仮設住宅を出る時期の希望は「1年以上3年未満」が35.4%で最多だったが、「見通しが立たない」も35.1%に上った。「1年未満」は17.2%、「3年以上5年未満」は9.8%だった。
新たな住居は災害公営住宅が55.9%を占め、集団移転などの自宅再建・購入は26.5%。移転先の環境で重視する条件(複数回答)は「買い物や通院に便利」が71.8%と圧倒的に多く、「通勤・通学の便がいい」が24.4%、「町内会や人付き合いの良さ」「駅や幹線道路に近い」がともに23.0%と続いた。
居住を希望する地域は、商業施設などが集積する蛇田地区が54.4%でトップ。市中心部が13.5%、湊地区と渡波地区が各6.4%などで、市街地でも浸水被害が大きかった門脇地区はゼロだった。
山崎教授は「仮設住宅は高齢者世帯が多く、移転に伴う費用負担などが不安要素になっている。住宅に関する情報不足を訴える傾向も強く、行政は周知に工夫が必要」と分析している。
調査は8月、市内で最大規模の開成・南境地区の仮設住宅団地で1395世帯に調査票を配布し、344世帯から回答を得た。