化粧品各社が最高級ラインのスキンケア化粧品の販売態勢を、アジアを中心とした海外で強化する。資生堂は来年以降、中国をはじめとしたアジアや米国で商品を刷新するほか、コーセーは来年3月にシンガポールやマレーシアなどで新商品を発売。カネボウ化粧品も今月から韓国やタイなどで新ラインを導入する。アジアで急増している富裕層を取り込むとともに、ブランド価値を向上させるといった狙いがあり、海外事業拡大のための橋頭堡(きょうとうほ)を固める。
資生堂が刷新するのは、最高級ブランド「クレ・ド・ポー・ボーテ」のスキンケアライン。中国を中心とするアジア、米国など10カ国・地域で順次導入する。
化粧水や洗顔料、乳液など20品目(国内価格は4200~5万2500円、化粧用コットンを除く)で、新開発の保湿成分を配合するなど、最先端の美容理論に基づき開発した。
海外に先立ち国内では来年1月に導入する。同社は「国内高価格帯市場での地位を盤石にするとともに、アジアの富裕層を取り込むなどして世界で競争力を高め、2017年度にはこの商品で、海外と国内売り上げを拮抗(きっこう)させたい」と意気込む。
コーセーは、最高級の「コスメデコルテ」ブランドから「エーキュー・エムダブリュー」をシンガポールやマレーシア、台湾などで投入する。化粧水や乳液、美容液など9品目(4725~3万1500円)で構成され、紫外線などが肌に与えるダメージを緩和させたり、皮膚になじみ乾燥などから肌を守る保湿成分を配合した。
容器デザインなどは世界的に活躍するインテリアデザイナー、マルセル・ワンダース氏が手がけ、高級感を演出。グローバルでブランドの認知度向上につなげる。
カネボウ化粧品も、最高級ブランド「インプレス」から、クリームや乳液など3品目(2万1000~12万6000円)の最高価格ライン「グランミュラ」を韓国やタイなどで発売。肌荒れ防止や美白に効果的な独自成分などでアンチエイジング(抗加齢)に役立つ点を売り物とする。
同社によると、世界のプレステージ(高級)化粧品市場は拡大傾向にあり、特に日本を除くアジア太平洋地域では、04年から09年にかけて52%拡大した。こうした流れに乗って海外での収益拡大の旗振り役としたい考え。世界規模での顧客争奪戦は、一段と激しさを増そうとしている。(中村智隆)