資金難の宮城さい帯血バンク 来年度は事業継続へ

 資金不足で2011年度以降の事業継続が困難になっていたNPO法人「宮城さい帯血バンク」(理事長・里見進東北大病院長)が、11年度の運営は維持される見通しとなった。新聞報道などで窮状を知った東北各地の医療関係者らが寄付を申し出た。仙台市で15日に開かれたバンクの総会で報告された。
 宮城バンクによると、運営危機が表面化した今年3月以降、宮城を中心に各県から約620万円の寄付金が集まった。500万円以上と見込まれる不足分が賄え、11年度までの運営のめどが立ったという。
 12年度以降に関しては、同様に財政事情が厳しい各地のバンクと連携し、運営の在り方を検討する。全国11のバンクが加盟する日本さい帯血バンクネットワーク(東京)も事業の将来構想策定に着手。国に診療報酬の増額を求める方針で、国との協議を踏まえて方向性を決める。
 宮城バンク事務局長を務める東北大大学院医学系研究科の土屋滋教授は「多くの方に支援していただき、大変感謝している。バンクとしても採取件数などの実績を高め、自主財源を増やす努力をしていきたい」と話した。
 バンクは白血病患者らの移植治療に活用する妊婦の臍帯血(さいたいけつ)の採取・保存などに当たる組織。宮城バンクは1999年に発足し、東北唯一の公的バンクとして7医療機関と提携、5月末までに99人分を全国の患者に提供した。
 医療体制の位置付けを明確にする法整備や財政的な支援策の遅れから、運営資金は年間数百万円の不足が生じ、チャリティーコンサート開催などでやりくりしてきた。

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