赤ちゃん連れママ大歓迎 映画、買い物…集客増へ対応

赤ちゃん連れのママ、大歓迎-。映画や食材の市場をはじめ、育児中の母親が小さな子供と一緒に出掛けられるイベントや場所が増えている。授乳やおむつ替えが必要な乳幼児向けの設備が整い、気兼ねなく過ごせるよう工夫されているのが特徴だ。企業なども新たな顧客獲得への期待から対応に力を入れている。
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 通路を赤ちゃんがハイハイして通り過ぎ、ママの笑い声が上がる。千葉県柏市のシネマコンプレックス(複合型映画館)。上映中だが場内では小さな子供たちが走り回り、泣き声も聞こえる。松竹マルチプレックスシアターズが展開する子供とママ向けの上映会「ほっとママシネマ」だ。
 スクリーン前にはおもちゃが並ぶ「広場」が設けられ、通路にはクッションが置かれたおむつ替え用スペースも。上映中に歩き回り、子供におやつを食べさせるのも自由。場内は手元の文字が見えるほど明るく、音量も通常より小さめだ。
 「出産や育児で足が遠のいてしまうママ専用サービスを打ち出し、次世代につながるファンをつくろうと考えた」と松竹の山縣勇さん。常連客の「子供が途中で騒いでも大丈夫な映画館はないの?」との要望を聞き、平成20年に取り組みを始めた。今は全国22カ所のシネコン「MOVIX」で月1回程度開催している。
 7カ月の男児を抱っこしながら映画を見ていた千葉県流山市の長田円香さん(34)は「出産後映画館に来るのは初めて。家に籠もりがちだったが、これなら周りに気兼ねなく楽しめる」と顔をほころばせた。
 東京都世田谷区の住宅街。一角にあるお寺の境内で月1回、子連れ客をターゲットに野菜などの直売所「ママンカ市場」が開かれる。
 ホームページ制作会社社長の須賀大介さんが、子供の誕生をきっかけに「一緒に出掛けられる場所が欲しい」と22年に始めた。お寺の和室を借り、おむつ替えや休憩ができるスペースを確保。紙芝居のイベントもある。子供を安心して遊ばせながら買い物できると来場者に人気だ。
 出店者からも消費者の反応を直接聞けて販路拡大にもなると好評。茨城県筑西市の農家、潮田武彦さん(36)は「自分の作るニンジンを子供が好きと聞くとうれしい。農家同士のつながりもできる」と喜ぶ。
 ホームページ運営会社「スマイリーマム」(東京)は、子供連れでも安心して行ける全国の飲食店など約7700店の紹介サイトを展開。ジャズライブやオペラなど子供と一緒に参加できるイベントも開催する。杉山憲一社長は「子連れじゃないと入れない店もある。店側もお客が少ない時間帯をうまく使おうと工夫している」としている。

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