“超高級自転車”が人気のワケ おしゃれグッズも充実、狙いは女性客

節約や健康志向などで盛り上がりを見せる自転車ブーム。
 近ごろは“ママチャリ”ではなく、速くて小回りが利く「クロスバイク」など高級車種が人気を集めている。東日本大震災での帰宅難民問題などをきっかけにした自転車通勤の「ツーキニスト」や、趣味やエクササイズ目的のユーザーも急増中で、高級自転車市場は活況だ。
 日本最大級のスポーツ自転車展示会「サイクルモードインターナショナル」が11月9~10日、インテックス大阪(大阪市住之江区)で開かれた。国内外から65社・団体が出展し、約1万5千人の自転車愛好家が大集結。デザインや使いやすさ、耐久性に優れたクロスバイクやロードバイクなどが注目を集めた。
 大阪市内では近年、こうした高級車種を扱う店が相次いでオープン。「ベックオン」(同市中央区)は、ネット販売を専門に手がける「ワールドサイクル」(堺市)が今年10月に出店した初の実店舗だ。
 店内には150台超のスポーツ自転車がズラリ。中でも目を引くのは、フレームだけで1台147万円(税込み)というカナダ・サーヴェロ社が手がけた“超”高級車だ。軽い炭素繊維を使い、熟練職人が手仕上げした操作・耐久性に優れた逸品で、ハンドルや変速機などを組み込み完成させると、220万円にもなるという。
 かっこいいヘルメット、個性的なウエアなどおしゃれグッズも充実し、店舗の品ぞろえも拡大中。「他店との相乗効果を期待している」と、ベックオンの金森孝憲店長は需要の高さを見込んでいる。
 高級自転車はパーツを吟味し、愛車に手を加える“機械いじり”好きの男性ユーザーが中心だった。だが、今やメーカーや販売店が注目するのは女性客だ。登山好きの「山ガール」や鉄道ファンの「鉄子」など、旧来男性が多かった趣味に女性が進出。自転車は美容やファッションと関わるだけに、業界は女性の需要に期待を寄せている。
 大阪・御堂筋沿いに昨年3月オープンした「リブ/ジャイアント大阪」(同市中央区)は、世界最大の台湾自転車メーカー、ジャイアントによる初の女性向け店舗。小柄な女性用に開発されたスポーツ車やファッションをそろえる。
 「スポーツ車を買い求める女性が増えてきた」(関係者)と話すのは、大丸心斎橋店(同市中央区)に平成22年オープンした「アレグレッツァ」。20~30代女性の人気を集めるのはイタリアやカナダ製の輸入車で、売れ筋は4万~6万円。もっと高額な電動アシスト付き日本製品の売り上げも伸び、ここ数カ月の販売台数は月1割のペースで増えているという。
 市場の成長を支えるのは製品だけではない。自転車で出かけるツアーなどの関連イベントだ。「サイクルモードインターナショナル」でも自転車ツアーの紹介コーナーが大にぎわい。関西では六甲山や淡路島(ともに兵庫県)をめぐるツアーが人気といい、サイクルモードインターナショナル実行委員会の川辺圭祐さんは「自転車で色んな世界に出かけて楽しもうとする人が増えている」。自転車の魅力をより引き出そうと、業界はイベントや企画にも知恵を絞る。アイデア合戦が市場の活気を継続させているようだ。(田村慶子)

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