車両生産で復興貢献 トヨタ副社長、県式典で強い意欲

宮城県は11日、東日本大震災からの地域産業の復興と振興に向けた「みやぎ復興元年セレモニー」を県庁で開いた。復興支援を掲げて東北の生産拠点化を進めるトヨタ自動車グループの関係者も招待され、トヨタの新美篤志副社長は「復興に向けてともに頑張りたい」などと、自動車産業を通じた地域貢献の実現に強い意欲を示した。
 セレモニーには村井嘉浩知事をはじめ県関係者のほか、津波被害を受けた沿岸部を中心に県内14市町村の首長らが参加。セントラル自動車(宮城県大衡村)の葛原徹社長、トヨタ自動車東北(同県大和町)の杉山正美社長らも出席した。
 新美副社長は「トヨタが地域の皆さんと踏み出す一歩を、東北の未来につなげたい」とあいさつ。セントラルに今月設置した「東北現調化センター」を活用し、地域企業からの部品調達を拡大していく考えをあらためて強調した。
 これに対して村井知事は「東北全体で自動車産業を盛り上げたい。県も今後10年間の自動車産業振興プランを策定し、応援する」などと述べた。
 県はセレモニーで、トヨタグループが被災地への物資提供やボランティア派遣などに取り組んだことを受け、新美副社長に「絆」などと書かれた感謝状を贈呈。県庁前ではトヨタが昨年暮れに寄贈した、非常時の電源として利用できる車載給電装置も披露された。装置は既に県の公用車の「プリウス」17台に装備されている。
◎セントラル自増産も/トヨタ副社長、生産拡大を示唆
 トヨタ自動車の新美篤志副社長は11日、新本社工場の稼働から2年目に入ったセントラル自動車(宮城県大衡村)について「増産も考えていきたい」と、今後の生産拡大の可能性を示唆した。宮城県庁であった「みやぎ復興元年セレモニー」に出席後、報道関係者の取材に答えた。
 新美副社長は、関東自動車工業岩手工場(岩手県金ケ崎町)で昨年12月に生産を始めた小型ハイブリッド車「アクア」に触れ「受注が好調だ」と説明。アクアの増産次第では、関自工岩手で生産する他車種などを別工場に移す可能性があることから「セントラルのラインも活用したい」と述べた。
 セントラルが立地する工業団地に次世代送電システム「スマートグリッド」を導入する構想「F―グリッド」にも言及。「太陽光発電についてのデータ収集も始めている。(宮城県や東北大など)関係団体と実現を目指したい」などと語った。
 同構想については、村井嘉浩知事がこの日のセレモニーで「県も復興特区を活用するなどして協力する」と述べた。

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