車中泊ご一行様急増 道の駅のルール作りへ実態調査

道の駅や公園などにマイカーを止めて車内で一晩を過ごす「車中泊」が広がっている。宿泊費を節約できる利点に加え、旅館やホテルを予約する手間や時間を気にしないで済む手軽さから、中高年層に多いという。トイレなどが備わっている道の駅は「車中泊」の格好の場。利用者の急増を受け、東北の道の駅では全国に先駆けて、ルール作りに向けた実態調査が行われている。
 調査は、東北の道の駅の駅長や学識経験者らによる東北「道の駅」車中泊研究会(会長・宮原育子宮城大教授)が、国土交通省の委託を受けて行っている。
 研究会事務局の安藤美樹さん(27)は「車中泊は新しい旅のスタイルとして定着しつつある一方で、長時間駐車やマナー違反などのトラブルも出てきた」と説明する。
 研究会は昨年8月に準備を始め、これまでに利用者や道の駅へのアンケート、聞き取りなどを実施。3月に報告書をまとめ、国などに提言する。それぞれの道の駅での車中泊の可否を含め、マナーの普及・啓発や地域の観光振興につなげる方策も探る。
 研究会のメンバーで、道の駅「いいで」(山形県飯豊町)の安達純一駅長(59)は「最低のルールは必要だと感じている」と参加の動機を話す。
 安達駅長によると、駐車場で折り畳みテーブルを広げてガスコンロなどを使うケースに加え、電気ポットや炊飯器を利用するため、無断でコンセントを使う「盗電」やトイレでの食器洗い、ごみの持ち込みなどの迷惑行為が目に付くという。
 道の駅「いいで」は250台駐車できる広い駐車場があり、安達駅長は「夜に20台以上止まっていることが結構ある。道の駅はオートキャンプ場ではない。最低限のマナーは守ってほしい」と訴える。
 研究会によると、車中泊が増えている背景には、節約志向だけでなく、旅館やホテルに泊まりにくいペット同伴での旅行や食べ歩きに費用を集中させたり、地元の人々との交流を目的に日帰り温泉を巡ったりする旅行形態の多様化がありそう。時間に余裕のあるシニア世代が圧倒的に多く、高速料金の引き下げが拍車をかけた面もあるという。
<利用者の6割が50~60代 アンケート結果>
 東北「道の駅」車中泊研究会は11日までに、東北の道の駅での車中泊に関するアンケート結果をまとめた。
 道の駅「いいで」(山形県飯豊町)と「よつくら港」(いわき市)で昨年10月、車中泊利用者のうち103人を調査した。年代は50~60代が62%。同行者は夫婦が52%で半数を占めた。
 車中泊の理由は「自由なプラン」29%、「宿泊費の節約」27%、「趣味」21%―と続き、「ペット同伴」も7%あった。車中泊歴は5年以内の比較的経験が浅い人が45%と最も多かった。
 東北6県の道の駅137カ所のうち、121カ所が昨年の10月、平日と休日の各1日、車中泊の車を調査。平日は計583台、休日は計839台に上った。
 道の駅からは「地域の拠点となるよう、車中泊の受け入れを積極的に考えていきたい」「火の取り扱いが不安。問題が起きたときに対処できない」などの声があった。

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