自民、公明両党が12日決定した2014年度税制改正大綱に、軽減税率の導入が明記されたことをめぐり、東北経済界の賛否は割れた。軽自動車税の引き上げが盛り込まれたことに関しては、消費動向への影響を懸念する声が上がった。
特定品目の税率を抑える軽減税率について、東北スーパーマーケット協会連合会(盛岡市)の今修事務局長は「食料品への導入は多くの国民が望んでいる。増税時の売り上げ維持にも有効だ」と歓迎した。
軽減税率の対象に新聞や書籍を含めるよう求める声もある。秋田県書店商業組合(秋田市)の高堂正治顧問は「書籍や雑誌は知識、教養を得るための大切な文化。ぜひ実現してほしい」と適用に期待した。
対照的に、東北百貨店協会(仙台市)の林洋二事務局長は「各店、納入業者が複雑な事務処理を強いられる」と問題点を指摘。いわき商工会議所(いわき市)の小林裕明事務局長も「導入による中小の事務負担は大きい」と語った。
焦点の一つだった軽自動車税は、2015年4月以降に購入する新車を対象に引き上げが決まった。日本自動車販売協会連合会山形県支部(山形市)の秋葉勝義常務理事は「普通車と比べて税額が低いのは事実だが、消費者には引き上げへの抵抗感がある。いずれ売れ行きに影響が出るだろう」と話した。
経済界の要望が強かった法人実効税率の引き下げは、検討課題として積み残された。東北経済連合会の高玉昌一常務理事は「競争力維持に向け、中小にも恩恵を与えるような本格的な法人税減税が必要だ」と強調した。