軽減税率新案、プリペイドカードで負担減 政府・自民が検討

政府・自民党が、消費税率10%時に導入する 軽減税率制度について、低所得者対策として、あらかじめ政府が一定額を入金した「プリペイドカード」を配り、買い物時の負担を緩和する新案の検討に入った ことが26日、分かった。酒と外食を含めた全飲食料品を対象に購入時にカードから2%の税率分が引かれ、限度額いっぱいまで使える仕組み。限度額は1人当 たり年4000円程度とする案が有力だ。

 カードを使う新案により現在、自民党と公明党との軽減税率の制度設計をめぐる協議で最大の焦点となっている品目の線引きを行う必要がなく、決着に向けた切り札にもなり得るが、公明党は新案に慎重で、調整が難航する恐れもある。

 自民党税制調査会が同日開いた幹部会合で提案された。検討案では、軽減税率を導入する目的である低所得者対策を踏まえ、年収に上限を設けて配る案が有力 となる見通し。財源には、これまでの与党協議で合意した社会保障の充実策の見送りで浮く4000億円を全額充てる方向で調整する。

 支払い時に、カードをレジの端末にかざし、食料品と識別されれば税率が軽減される仕組みが想定されるため、対象品目の線引きは不要になる。買い物時にどの商品が税率10%か軽減税率対象なのかの混乱がなくなる。

 消費税率10%の時点で、例えば税込み3300円分の飲食料品を購入した際には、カードから2%分の60円が引かれ、レジでの支払額は3240円にな り、負担が和らぐ。カードの限度額が4000円なら3940円に減り、0円になるまで使える。事業者の負担を考慮して、カードの読み取り装置を政府が無償 で配布する案もある。

 財務省は9月に、軽減税率の制度案として、増税分の一部を、消費者に払い戻す「還付制度」を与党に提示。ただ、買い物のたびにマイナンバーカードをかざ すことなどに批判が噴出し、10月に案を撤回していた。プリペイドカード方式では、個人情報が詰まったマイナンバーカードとは違い、紛失時などの影響も小 さくて済む見通しだ。

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