エコカー補助金終了の反動減などで今年の国内の新車需要が落ち込むとみられる中、「低燃費」や使い勝手の向上で人気を集めている軽自動車をめぐり、メーカー各社の競争が過熱している。スズキは20日、軽自動車「アルトエコ」を一部改良し、ガソリン1リットル当たりの走行距離が二輪駆動タイプで33.0キロになったと発表。軽の燃費競争の攻防ラインはハイブリッド車(HV)並みに高まってきた。
「究極のエコカー」主導権争い 開発に各社傾斜、鍵を握るGMの動向
一部改良したアルトエコでは部品の構造や車体の設計を見直し、従来より車体を約20キロ軽くした。2012年9月発売の「ワゴンR」で初採用した低燃費化技術「グリーンテクノロジー」も活用。トヨタ自動車のHV「プリウス」を上回る燃費性能を実現した。3月4日に発売する。
ダイハツ工業も低燃費化に積極的だ。12年12月に投入した主力の軽「ムーヴ」の新型車に低燃費化技術「e:S(イース)テクノロジー」を取り入れ、燃費を1リットル当たり29.0キロに向上させた。現在1リットル当たり30.0キロのミライースの次期モデルでは「35キロを狙える」(伊奈功一社長)と自信をみせる。
日本自動車工業会によると、13年の国内新車販売台数は前年比11.7%減の約474万台、そのうち軽は全体の約38%を占める約180万台と見込まれている。軽の販売台数は1月に同月では過去最高の15万4166台となるなど人気は衰えていない。
ホンダは軽の「Nシリーズ」第4弾を年内に、日産自動車と三菱自動車も共同開発の新型軽を夏ごろに発売する予定だ。迎え撃つ軽2強のスズキ、ダイハツは「まさに軽の戦国時代。商品力を強化しないと生き残れない」(ダイハツ関係者)と、さらなる燃費性能の向上などで対抗する構えだ。(古川有希)