ダイハツ工業、スズキ、ホンダの「3強」による軽自動車の販売競争が過熱する中、各社の販売店が女性客を取り込もうとイメージ改革を進めている。女性は軽自動車ユーザーの約7割を占めるほか、家庭の財布のヒモを握っているからだ。各社ともカフェのような気軽に入れる店舗が特長で、来店客らに好評だ。
1月に開所したばかりのスズキの直営販売店「スズキアリーナ三鷹」(東京都三鷹市)。パステルカラーの家具を配置したほか、独立型の授乳スペースを同社の販売店として初めて設置した。店舗作りは、国内営業推進部の女性社員4人で構成する「女子改」が提案し、男性では目が届かない気配りが施された。
例えばイスだ。テーブルには、肘掛けの付くタイプと、肘掛けのないタイプの2種類を配置した。担当者は「子供には転落しないように肘掛けタイプを、体の大きい男性には肘掛けがないイスを使ってもらう」と狙いを明かす。
ダイハツは国内670の全店舗で、カフェをイメージした内装や来店者にコーヒーなどの飲料を提供する「カフェプロジェクト」を進める。都心の店舗では、店舗スタッフをカフェ風のボードで紹介したり、有名パティシエが監修した菓子を提供したりしている。同社は平成27年までに730店程度に店舗を増やす計画だ。
ホンダは、小型車と軽自動車に特化した販売店「スモールストア」で、トイレをホテル並みにきれいにしたり、駐車しやすいようにスペースを広げたりするなど女性を意識している。同社の「N BOX」は、広い室内空間を武器に24年度の軽自動車販売でトップとなったが、スモールストアを中心とする販売店改革による効果も販売の押し上げ要因となったようだ。