輝く海に元気もらって 南三陸出身の画家、古里で初の個展

宮城県南三陸町出身で故郷の海を題材に絵を描き続ける千葉県習志野市の画家外立(はしだて)とし江さん(67)の個展が11月11~20日、南三陸町の南三陸ホテル観洋で開かれる。東日本大震災の翌朝の海を描いた「オレンジ色の夜明け」など、油彩三十数点を展示する。
 「オレンジ色の夜明け」は、志津川湾の日の出をイメージした50号の作品。4月初旬に町を訪れた際、ホテル観洋のおかみ阿部憲子さん(49)から「震災の翌朝の海は見たことがないほどきれいだった。あの海の絵を描いてほしい」と依頼を受け、創作に乗りだした。
 震災の津波で弟ら親類7人を亡くした外立さんは、アトリエに入っても涙があふれ、筆がなかなか進まなかった。本格的な作業が始まったのは5月。描き上げるのに約1カ月かかった。
 個展開催のきっかけをつくったのは、登米市のボランティア団体の代表を務める千葉富久子さん(60)。震災後に出版された画集を購入して交流が始まり、「外立さんの絵を多くの人に見てもらいたい」と個展を提案し、実現を後押しした。
 外立さんが古里で個展を開くのは初めて。「ずっと開きたかったが、震災後は無理だろうと諦めていた。故郷の皆さんに元気を与えられる展覧会にしたい」と意気込む。
 期間中、額装したはがきサイズの絵を1点1万円で販売し、売り上げの全額を南三陸町に贈る。個展の初日は、名古屋市のソプラノ歌手下垣真希さんと東京のピアニスト北川美晃さんのコンサートも開く。

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