輸入車販売円高で“快走” 補助金終了の国産車尻目 東北

輸入車販売が東北で好調だ。9月の販売は前年同月比で倍増と、エコカー補助金終了で大幅に落ち込んだ国産の新車乗用車とは対照的。販売各社は円高還元も兼ねた独自の割引キャンペーンなどにより、さらなる需要の取り込みを目指す方針で、国産車販売の現場からは「客を奪われかねない」と懸念の声も出始めた。
 日本自動車輸入組合のまとめによると、東北の9月の輸入車新規登録台数は1439台で前年同期の2.1倍に上った。エコカー補助金の対象車種が少なく、制度終了の影響を受けにくかったなどの事情はあるものの、東北の乗用車の新車販売全体が9.2%減となる中、その好調ぶりが際立った。
 今後の見通しも強気で、ボルボ正規販売店のカメイオート(仙台市)は「10月はやや下がったが、11、12月は10%増が目標だ」と強調する。メルセデス・ベンツ正規販売店のヤナセ東北(仙台市)も「(補助金終了で)輸入車に目を向かせられる」と商機が広がったとみる。
 需要取り込みでは、カメイオートが10月、ボルボの販売専門日本法人の年末までのキャンペーンとして、一部車種の購入者を対象に最大40万円を値引きするサービスを始めた。さらに独自に約70万円分の付属品を無料で取り付けた特別仕様車も用意した。
 ヤナセ東北も同様にメーカーによる最大40万円の値引きを前面に打ち出し、屋外展示イベントも増やす方針。担当者は「輸入車をより身近に感じてもらえるようにする」と意気込む。
 値引きはいずれも円高差益還元の取り組みだが、「輸入車が安くなっているのではと来店する消費者も増えている」(カメイオート)と、円高は業界全体にプラスに作用しそう。
 「プジョー」など欧州高級ブランド4社の正規販売店のアルゴス(盛岡市)は「円高が続けばメーカーの資金にも徐々に余裕が出てくる。広告を増やすなど販促キャンペーンも展開できる」と話す。
 こうした輸入販売会社の動きに対し、仙台市内の国産車販売店は「国産高級車の客層が輸入車に流れる懸念もある」と警戒する。

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