JR東日本グループは18日、首都圏向けに試行してきた新幹線による農産物運搬を、地方都市間としては初めて仙台市と北海道函館市間で実施した。鮮度を落とさずに農水産品を届けられる利点があるとして、今回を皮切りに本格事業化。将来的にはグループ外の企業との取引も検討する。
担当者が午前6時すぎ、仙台発新函館北斗行きのはやぶさ95号に荷積みを開始。仙台ターミナルビル(仙台市)が運営する市内の農業施設で収穫したナシとブドウ計6箱(計18キロ)を、車内販売用の準備室に運び込んだ。
商品は新函館北斗駅でトラックに積み替えられ、函館市の商業施設「金森赤レンガ倉庫」に午前中のうちに搬入された。同社が19日、主催の特産品フェアで販売する。20日も同じ流れで商品を届ける予定。
赤レンガ倉庫までは従来、陸路とフェリーで約8時間かかるが、新幹線の利用で運送時間を半減できるという。JR東仙台支社の担当者は「渋滞がなく、決まった時間に届けられる。特産品を通じた地域間交流を支援し、地方活性化に貢献したい」と話した。
新型コロナウイルスの影響で、JR東の新幹線乗車率は9月、前年に比べ約7割減で推移。物流面の取り組みは、新たな活用策としても注目されている。