米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事が是正指示に従わないのは違法として、国が地方自治法に基づき知事を相手に起こした訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は20日、知事側の上告を棄却した。国側の勝訴とした一審福岡高裁那覇支部判決が確定した。
最高裁は「仲井真弘多前知事が埋め立てを承認した判断に違法はない」と結論付けた。裁判官4人全員一致の意見。
国は中断している埋め立て工事を再開する考え。翁長知事は承認取り消しを撤回するが、オスプレイの不時着事故で移設への反対姿勢を一層強めており、国と県の対立が解消する見通しは立っていない。
訴訟では、仲井真前知事が2013年に行った辺野古沿岸の埋め立て承認処分を、翁長知事が取り消せるかが争点となった。
高裁支部は9月、「元の行政処分に権限の乱用などの違法があれば取り消せる」と指摘。その上で、前知事の承認に問題はなく、翁長知事の対応は違法と結論付けた。
ただ、その理由で「普天間飛行場の被害を除去するには辺野古沿岸を埋め立てるしかない」と言及。国策を追認した判断だとして波紋を呼んだ。
国と沖縄県の対立は、15年に翁長知事が埋め立て承認を取り消したことで本格化。互いに提訴する異常な状態となり、和解を経て今回の訴訟に一本化された。地方自治法の規定で一審は高裁となり、国の提訴から約5カ月で最高裁判決を迎えた。