近年の日本人「冷笑主義」の傾向強まる…ブランドコンサル会社調べ

企業のブランドコンサルティングを行う株式会社リスキーブランドが7月18日、2008年から実施する生活意識調査の結果を分析した「この10年の社会的価値観の動向」について発表しました。

冷笑主義の傾向が高まる

この10年間で、日本人の価値観はどう変化したのでしょうか。

この分析では、日本人(15~64歳:男女)の価値観を“主成分分析”という統計を使って視覚化することを目的に行われました。

◆この10年の社会的価値観の変化(2008~2018)

株式会社リスキーブランド/マインドボイス調査

日本人の重心点は、2008年からリーマンショックの翌年の2009年に、一旦左上に動いたものの、それ以降は一貫して右下に移動しています。

この結果から、この10年の日本の社会的価値観は、言わば「冷笑主義(シニシズム)」が高まっていると読み取れるといいます。

冷笑主義について、同社は本来の意味とはやや異なるとしたうえで「社会や権威には冷めた目線で接し、先のことを深く考えるよりも、今の状態を楽しもうとする価値観」と位置付けています。

楽しくても明るい未来を描けない社会

同社は、冷笑主義が強まった背景に、明るい未来を描きにくい反面、あまり頑張らなくても生活を楽しめるインフラが整ったこの10年の社会状況の変化があると推測します。

いよいよ実感が増してきた人口減少や高齢化、災害や環境問題の深刻化に伴う社会不安、大手企業の不振や信用低下などが複合的に影響しているとみています。

また、かつてあった「頑張ることで生活を豊かにして楽しむ」という構図が、この10年余りのテクノロジーやサービスの進化によって崩れたと指摘。

スマートフォンの画面をスクロールするだけで多くの情報を得られ、動画やゲームなど好きなコンテンツを安価で楽めるように。高級品も、フリマアプリなどで手軽に入手できる環境が存在しています。

冷笑主義の7つのポイント

今回のデータを分析すると、冷笑主義には次の7つのポイントが含まれることが分かるそうです。

【2008~2018年の価値観の変化】
1. 他人への無関心:3割強(12ポイント)増加
2. 信頼関係の希薄化:13%(4ポイント)増加
3. 感動の希薄化:17%(10ポイント)減少
4. リスクは取らない:24%(9ポイント)減少
5. 今さえ楽しければそれで構わない:4割強(8ポイント)上昇
6. 贅沢の日常化:約3割(5ポイント)上昇
7. 冷めた目線:2割(5ポイント)上昇

同社は、冷笑主義は日常生活に困らない程度に、経済的に恵まれた環境にあって初めて生まれる価値観と考えられるとしています。

今一度、自分が求める豊かさや将来について、悲観にも楽観にも偏らずにじっくり考えてみたいものです。

【調査概要】
調査対象:全国の15~64歳の日本人男女(世帯年収300万円以上)※2018年は15~74歳
調査手法:インターネット調査
有効回答:約4000サンプル/年 ※2018年は4873サンプル(15~74歳男女)

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