近未来通信社長に逮捕状 近く国際手配

IP電話事業を名目にした「近未来通信」(東京都中央区、破産手続き中)の詐欺事件で、実体のない通信事業への出資を募り、投資家から金をだまし取っていた疑いが強まったとして、警視庁捜査2課は20日、詐欺の疑いで石井優社長(50)の逮捕状を取った。中国にいるとされる石井社長については、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて近く国際手配する。元専務(41)ら同社幹部の刑事責任も追及する方針。破綻(はたん)した平成電電に続き通信ベンチャーの関係者が詐欺容疑で立件されることになった。
 調べでは、石井社長は、インターネットを利用したIP電話サービスにからみ、「電話中継局のオーナーになれば、月に数十万円が配当される」などと虚偽の説明で出資を募り、投資家から現金を詐取した疑い。
 近未来通信はサーバー設置費など一口最低1100万円で中継局オーナーを募集、全国約3000人から総額400億円を集めたとされる。
 しかし、警視庁が全国約90カ所に設置されたサーバー約1300台を押収して調べたところ、ほとんどはソフトウエアも組み込まれておらず稼働できない状態で、電話線にも接続されていないことが判明。投資家に約束した配当も集めた資金を別の投資家の配当に回す「自転車操業」で、事業実体はなかった。このため、捜査2課は社長らは電話設備への出資名目で投資家から詐取していた疑いが強いと判断した。
 配当は昨年9月以降滞っており、11月には突然、本社や支店を閉鎖。石井社長は同月、羽田空港から出国したことが確認されている。捜査2課は昨年12月、本社などを捜索。役員らは任意の事情聴取に「社長の指示で金を集めた」と説明しているという。

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