宮城県大河原町のさとうたけしさん(39)は、塗装用のローラーで絵を描くペイントアーティスト。制作現場を公開しながら短時間で作品を完成させる。独自の表現への注目度は高く、国内各地だけでなく、海外へも活動の場を広げている。(大河原支局・柏葉竜)
◎ペイントアーティスト さとうたけしさん
-芸術の道を志したきっかけは。
「19歳の時に旅行で米国に行き、スプレーで絵画を仕上げるスプレーアートに出合ったことです。驚いたことの一つが、短時間で描き上げるスピード感。もう一つは、ノズルを替えたり缶を逆さまにしたりして塗料の吹きかけ方を変え、見ていて楽しかったことです。ビルに描かれた高さ20メートル以上の壁画にも衝撃を受けました。もともと絵を描くのが好きだったので、自分も芸術に取り組みたいと思いました」
-現在の表現方法にたどり着くまでの道のりは。
「まずは大きな壁や看板に絵を描く仕事を見つけて技術を磨きました。そのうち、ローラーと筆を使って人前で創作を始めたのですが、筆で細かく表現しているとどうしても時間がかかる。独自性と速さを追い求めた結果、ローラーだけで表現する方法に行き着きました」
「現在は縦1メートル60センチ、横2メートル30センチの紙にバラや人物などを6分程度で描きます。スプレーアートのようにスピード感とエンターテインメント性を併せ持った表現を目指しています」
-東日本大震災が大きな転機となったようですね。
「被災地を拠点にしていることもあり、海外から声が掛かるようになりました。復興支援のチャリティーオークションなどで多くの作品が売れたんです。売上金は自分が受け取るべきではないと考え、全て寄付に充てました」
-最近はテレビ番組に出演する機会も増えています。
「バラエティー番組で(解散前の)SMAPやビートたけしさん、明石家さんまさん、所ジョージさんを描いたこともありました。バラエティー番組はどう取り上げられるか心配もあるのですが、反響は非常に大きかったです」
-今後の目標は。
「挑戦を続けることです。最近では塗装職人たちとのアートプロジェクトや教育現場での社会貢献に力を入れています。新しいことに取り組むことで、表現を高めていきたいと思っています」