体操女子の宮川紗江(18)に暴力をふるったとして速見佑斗元コーチ(34)が日本体操協会から登録抹消処分を受けた問題で、速見元コーチは31日、東京地裁に行っていた地位保全の仮処分申し立て手続きを取り下げることを代理人弁護士を通じて発表した。
速見元コーチと代理人の山口政貴弁護士の連名で報道各社に「速見佑斗元コーチによる仮処分申請手続き取り下げについてのご報告」としてFAXを送信。「先日、速見佑斗元コーチが、日本体操協会を相手として、東京地方裁判所に指導者としての地位保全命令申立てを行いました。しかしながら、検討を重ねた結果、本日、同申立てを取り下げ、日本体操協会から8月13日に出された懲戒処分を受け入れる決断をいたしました」とつづった。
処分理由については「今、私がおこなっている処分を不服として裁判所で協会と争っていることは選手ファーストになっていないと思いました。また自分の立場しか考えていないと猛省しました」とし、「私がすべきことは処分を不服として争うことではなく、処分を全面的に受け入れ反省し、それを皆様に認めてもらった上で、一刻も早く正々堂々と宮川選手の指導復帰を果たすことこそが選手ファーストだという結論に至りました」と説明。「私は協会からの処分を全面的に受け入れることと反省している証として、本日、仮処分の取り下げ手続きに入ることを表明いたします」とした。
これより、31日午後2時半から行われる予定だった第2回審尋手続きについては行われず、速見元コーチも出頭しないとした。
◇取り下げ理由について(コメント全文)◇
8月29日に宮川選手が私の暴力行為における記者会見を行いました。私は記者会見の報道を見ながら、今の自分を振り返ると共に今の宮川選手がどのような状況であるかを改めて見つめ直しました。
そもそも原因は協会の処分ではなく私の暴力行為です。もとを正せば私の行為により一番被害を受けているのは宮川選手です。しかしながら宮川選手が望んでいることが私の指導の復帰です。誰が良い・悪いはさておき、ここに「選手ファースト」が損なわれている現実が存在します。故にどうすれば選手ファーストになるかを考えました。
8月29日、日本体操協会が私の処分について記者会見を行いました。その中で「処分はされても指導は出来る」、処分にある「無期限」は「永久的」ということではなく、「真摯に反省し、実績を積んだ後で都道府県より申請があれば再登録が検討されることになる」との説明がありました。その説明を聞いた時に、今、私がおこなっている処分を不服として裁判所で協会と争っていることは選手ファーストになっていないと思いました。また自分の立場しか考えていないと猛省しました。そして私がすべきことは処分を不屈として争うことではなく、処分を全面的に受け入れ反省し、それを皆様に認めてもらった上で、一刻も早く正々堂々と宮川選手の指導復帰を果たすことこそが選手ファーストだという結論に至りました。
そこで私は協会からの処分を全面的に受け入れることと反省している証として、本日、仮処分の取り下げ手続きに入ることを表明いたします。
協会の皆様には選手ファーストの観点からも本処分の今後のお取り扱いについて改めてご検討いただきますよう、申し入れて参りたいと考えております。
以上