気仙沼市の造船会社などが、市内に造船団地を整備する構想を進めている。東日本大震災で敷地が地盤沈下した工場を1カ所に集約し、作業環境を向上させるとともに新規取引先の開拓も目指す。市内の17社が12日に気仙沼造船団地協同組合を設立する。
構想では、気仙沼湾に面した地区に数ヘクタール規模の造船団地を造成し、造船会社や鉄工所などを集める。建造・修繕のための共同施設も新設する。
集約化により施設整備の二重投資を避け、経営効率の向上を図る。当面は漁船建造をメーンとし、将来は商船や内航船、橋などの構造物の建造も目指す。
国土交通省が2013年度当初予算案に盛り込んだ被災地域中小造船業復興支援事業へ申請する。同事業は、造船会社が施設を集約化する際に最大3分の2を補助する。総額で約160億円が充てられる。
同市は震災前まで、造船や鉄工、塗装、電装の会社などが立ち並び、三陸沿岸の造船拠点に位置付けられていた。大半が津波で被災し、岸壁も約1メートル沈下。以前は400トン級の船を受注できたが、現在は最大200トン級しか建造できない。
団地整備については昨年8月、国交省や市、造船関係業者が造船施設高度化検討会を設置し、可能性を探ってきた。
中心メンバーの木戸浦造船(気仙沼市)の木戸浦健歓(たけよし)専務は「集約化すれば、各社がそれぞれ蓄積してきた技術や情報が集まり、生産やサービスの高度化を図れる。造船から修繕までフルラインアップで受注できる態勢を発展させ、気仙沼の水産業復興にもつなげたい」と話す。