週休4日の「ゆるい就職」は定着するのか?

メンバー全員がニートで、株主かつ取締役でもあるという新しいコンセプトで話題となった「NEET株式会社」の代表者・若新雄純氏が、再びユニークな企画を立ち上げました。その名も「ゆるい就職」。週休4日で月収15万円を目指すという派遣事業です。こうした「緩い」働き方は定着するのでしょうか?
 現在の就労形態は、正社員か非正規社員かという区分はありますが、基本的にはフルタイムで雇用されるか、アルバイトのように時間単位で働くかのいずれかになります。日本の会社では、会社に所属している人とそうでない人がはっきりと分かれており、プロジェクトによって、あるいは人によって、会社への関わり方が異なるという形態はあまり好まれません。
 もう少し多様な働き方ができないかという視点で考え出されたのが、今回、立案された週休4日、月収15万円という派遣事業です。若新氏はプロデューサーとしてこの事業に関わり、実際の運営は株式会社ビー・スタイルが行います。
 この就労形態がうまく成立するのかは、派遣社員を受け入れる企業次第ではありますが、価値観やライフスタイルの多様化が進む時代にあっては、こうした就労形態が存在するのも悪くありません。
 社会全体として見れば、これは、一種のワークシェアリングと解釈することもできます。仕事の内容をしっかりと明文化し、責任の所在をはっきりさせることができれば、様々な雇用形態の人が、仕事をうまく分担しながらプロジェクトに関わることが可能となります。そうすれば、従来よりも多くの人に雇用の機会が与えられることになるでしょう。
 このところ日本では労働市場に大きな変化が起こっています。これまでとはうって変わって、人手不足が大変深刻な状況になっているのです。
 建設業界で人手不足になっているのは、大型の公共事業が相次いでいるからですが、外食産業などにおける人手不足の原因は、若年層労働人口の減少であり、これは構造的な問題です。人手不足に苦しむ企業の中には、とにかく人を確保しようと積極的に正社員化を進めるところも出てきました。
 正社員としてフルタイムで働くことがもっとも理想的な状態と考えるのであれば、そして、職種にそれほどこだわらないのであれば、今後は正社員への道は容易に開けそうです。逆に、人手不足であるが故に、企業側は労働者の就労形態についてより柔軟に対処する必要が出てくるとも考えられます。
 人手不足をうまく利用し「ゆるい就職」で提唱しているような就労形態を定着させることができれば、日本人の新しい働き方というものが見えてくるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました