「いきますよ~! シェーーッ!」
壇上から報道陣に向かってポーズを決めているのは、ジャニーズグループ『Snow Man』。映画『おそ松さん』の公開前イベントでの一コマだ。3月25日に公開された同作は、初日だけで23万7000人の観客を動員し、興行収入3.3億円の大ヒットスタートをきった。
’20年1月にCDデビューを果たして早2年。『嵐』がデビュー後10年かかったファンクラブ会員数60万人突破をわずか2年で達成し、今やジャニーズ事務所のグループの中でも5位の人気を誇る。
「世界に通用するハイレベルなダンスとバラエティ番組での適応力が魅力です。さらに、撮影現場では直属の先輩である滝沢秀明副社長(40)仕込みの礼儀正しさと持ち前の愛嬌で、演者のみならずスタッフにも愛されています。長年真面目にやってきたことが表でも裏でも実を結んでいるグループなのではないでしょうか」(芸能リポーター・駒井千佳子)
シングル曲をリリースすれば80万枚の売り上げは確実と言われる超売れっ子だが、実はメンバーの多くが三十路(みそじ)手前の〝遅咲き〟グループ。Jr.時代にはずっと「デビューしても売れない」と言われ、結成から8年もの間、辛酸をなめてきた。
「今はジャニーズJr.がテレビや映画に出ていますが、彼らがJr.の頃は、『滝沢歌舞伎』などの舞台を中心にファンを獲得していました。先にデビューした同期の『Hey! Say! JUMP』や後輩の『Sexy Zone』の陰で彼らは〝職人〟と呼ばれ、地味なベテランとして扱われてきました」(テレビ局関係者)
しかし、ジャニー喜多川氏は亡くなる直前、滝沢と共に彼らをデビューさせることを決意した。
「デビューの1年前、急に新メンバーが加入することとなったんです。ダンスに秀(ひい)でて、190㎝の圧倒的長身で目を引くラウール(18)、色気があって韓流寄りの顔立ちの目黒蓮(25)、トーク力が高くMCもできる関西人の向井康二(27)の3名です。
新メンバーによって華やかな印象を与え、人数を偶数から奇数にしてセンターポジションを生み出すことで、ファンの年齢層が広がりダンスグループとして地位を確立したんです」(芸能プロ関係者)
一方、事務所は彼らのデビューを通じて、新たな売り出し方に挑戦した。
「これまでSNSや動画投稿サイトなどデジタル事業から徹底的に距離を置いてきたジャニーズ事務所が、『Snow Man』の単独YouTubeチャンネルを開設。新曲発売前にMVの一部公開を始めたんです。また、彼らがダンスや歌を練習する様子も公開しています。K-POPの手法を取り入れ、とにかく人々が彼らの歌やダンスに触れる機会を増やしていく戦法に切り替えた。ジャニーズといえば、デビューと同時にドラマ主演と主題歌を担当させたり、デビュー曲を『ワールドカップバレー』のテーマ曲とするなどテレビの力を大いに活用してきました。しかし、彼らのデビューは、テレビに頼らない新時代の売り出し方と言えます」(スポーツ紙芸能デスク)
また、彼ら9人は、この新たな試みに適応できるだけの実力をもっていた。
「アクロバットとクオリティの高いダンスが売りでしたが、動画映えするダンス一本のスタイルへ転向しました。しかし、それができたのも〝職人〟と呼ばれるほどの実力あってのこと。また、メンバー全員が『できませんと言わない』という信念を持ち、設楽統(48)など番組司会者に『何を言っても拾ってくれる』などと評価されています」(全国紙芸能記者)
今では冠番組を持ち、グループ全体でテレビのレギュラー6本、CM6本を抱える。4月にはグループで主演の舞台も開幕予定。彼らの快進撃はまだまだ続く。
『FRIDAY』2022年4月15日号より