東北大加齢医学研究所の小笠原康悦教授(免疫学)らの研究グループは、金属アレルギーやかぶれなど、発症まで24時間以上かかる遅延型アレルギーの症状を抑える細胞を発見した。この細胞をコントロールできれば、遅延型アレルギーの新しい治療法につながることが期待できるという。
研究グループは、白血球の中にあるリンパ球の一つ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)に着目した。NK細胞は樹状細胞との相互作用で、体内に侵入した細菌やウイルスへの免疫反応を促進することが知られている。
マウスのリンパ節にあるNK細胞と樹状細胞の働きを詳細に分析。NK細胞が樹状細胞の特定の分子を取り込み、新たな細胞に変化することを突き止めた。
遅延型アレルギー症状で足の腫れたマウスで実験。通常のNK細胞を注入した場合は症状にほどんど変化がなかったのに対し、新たな細胞を入れた場合は、足の腫れが緩和された。
このことから、新細胞は、遅延型アレルギーを引き起こすT細胞の活性化にブレーキをかける働きがあるとみられる。
新たな細胞は、免疫をつかさどる細胞の働きを抑えることも判明。免疫の機能の異常が原因とされるⅠ型糖尿病、関節リウマチなどの疾患にも効果が期待できる。
小笠原教授は「新しい細胞を制御することができれば、新たな治療法の開発につながる。薬で発現させた変化ではないので、副作用も少ないはずだ」と話している。