◎「気仙沼あそびーばー」開設4年
東日本大震災の被災地で子どもたちが遊ぶ環境をつくろうと、気仙沼市本吉町寺谷に冒険遊び場「気仙沼あそびーばー」ができて今春で4年になる。運営主体は東京のNPO法人から地元住民に移行し、お年寄りも集う地域の交流拠点として親しまれている。
毎週水~日曜日、校庭に仮設住宅が並ぶ大谷小近くの民有地に子どもの歓声が響く。やぐらに登ったり、ボールを投げ合ったり、木材で工作したりと誰もが伸び伸びと遊んでいる。
農業用ビニールハウスの中には畳が敷かれ、5、6人がトランプに夢中だ。大谷中1年の及川竜巧君(12)は「震災後は学校が終わるといつもここ。友達も集まるし、スタッフが優しいから」と目を輝かせた。
遊び場は震災直後の2011年4月、東京のNPO法人が開設。12年9月に地元住民が運営が引き継いでスタッフ2人が常駐する。気仙沼あそびーばーの会代 表の鈴木美和子さん(66)は「震災後は友達をたたいたり、大声を出したりして気持ちを紛らわす子もいたが、遊びの中で自然に落ち着いてきている」と目を 細める。
最近は散歩がてらに立ち寄るお年寄りも増えた。ハウスの中では主婦斎藤毬子さん(70)が「ここで子どもの声を聞くと若返る」と話し、主婦仲間と一緒に、こいのぼりを縫っていた。
昨年暮れには、助成金頼みの運営を心配する近所の高齢者約20人が、わらで手作りした正月飾りを約200個販売。収益金が団体に寄付された。鈴木さんは 「住宅再建で環境が変わる時期なので心のがれきが残る子どもたちを癒やし、地域に元気を届け続けたい。年末で切れる助成金を何とか確保したい」と話した。