人手不足が深刻化するトラックドライバーの待遇改善に向け、国土交通省は18日、トラック運送事業者が荷主と契約を結ぶ際のルールを改正する方向で最終調整に入った。あいまいだったドライバーの待機時間などへの費用負担を荷主が書面化するよう求める。適正料金を受け取れるようにすることで、ドライバーの所得向上や事業者の人員確保を後押しする。
日常的に多くの運送契約を扱う運送事業者は荷主と契約を結ぶ際、定型化した「運送約款」に沿って取引ルールを決めており、国交省がひな型となる「標準運送約款」を告示で定めている。改正するのはこの標準運送約款で、国交省は月内にも改正案をまとめる。
改正案では荷主が運送事業者に送る書面に、配送運賃だけでなく「待機時間料金」や「(荷物の)積み卸し料金」の詳細なども記載するよう定める。ドライバーは配送以外にも積み卸しを請け負ったり、荷主の都合で待機を余儀なくされたりするケースも多いが、現行の標準運送約款ではこうした業務や拘束時間に対する費用負担の書面化が規定されておらず、“サービス残業”が後を絶たなかった。
ほとんどのトラック運送業は中小事業者のため、運送契約は荷主優位の傾向にある。国交省のアンケートでは、待機時間や積み卸しの料金を「運賃とは別に受け取っている」とした事業者は1割にも満たないほか、8割近い事業者が十分な料金を荷主から受け取れず「人件費に影響が出ている」と回答していた。