過食でカロリー消費低下=飢餓に備え蓄積か―肥満メカニズム解明・東北大

 高カロリーの食事をすると、脳が基礎代謝を担う「褐色脂肪」の働きを低下させ、肥満を引き起こすことを、東北大大学院医学系研究科の山田哲也准教授らの研究グループがマウスの実験で解明した。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防や治療法の開発につながると期待される。論文は4日付米科学誌「セル・メタボリズム」に掲載された。
 山田准教授は「飢餓に備え、過剰摂取したカロリーを蓄積する仕組みが残っているのでは」と説明。体に備わった栄養備蓄の仕組みが明らかになるのは世界初という。 
 グループは、肝臓内で糖の代謝を高める酵素「グルコキナーゼ」の働きに着目。糖分や脂肪の多い餌をマウスに与え、グルコキナーゼが増えると、脳が交感神経の働きを抑制し、褐色脂肪のカロリー消費を下げていた。一方、肝臓から脳につながる神経を切断して高カロリー食を与えたところ、褐色脂肪の活動に変化は起きなかった。
 また、太りやすい種類のマウスでグルコキナーゼの上昇を人為的に抑えると、カロリー消費量が上がり、太りにくいマウスで過剰に上昇させるとカロリー消費量が低下。備蓄システムの働きが、太りやすさの違いにつながることが分かった。

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