新型コロナウイルスの学校現場への感染拡大を受け、北海道教育委員会は道内すべての小中学校を27日から1週間、臨時休校にするよう市町村教育委員会に要請しました。
道内では新型コロナウイルスの感染が児童や先生、給食の配膳員といった学校現場にも広がっています。
こうした中、26日午後3時から開かれた教育委員会で北海道教育委員会は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、道内のすべての小学校と中学校、それに特別支援学校1600校余りを27日から1週間、臨時休校にするよう市町村の教育委員会と私立学校に要請する通知を出したと報告しました。
実際に休校するかどうかの判断は、各市町村の教育委員会や私立学校が行うことになります。
一方、高校は小中学校に比べ各自で予防策がとれるとして、休校の要請はしないということです。
また、来月4日の道立高校の入学試験は予定通り行うということで、受験を控えた中学3年生の希望者には補習を行うなどの対応をとることをあわせて要請しました。
【会見で知事は】
鈴木知事は臨時の記者会見を開き、「この1、2週間が勝負で感染拡大を阻止するためできることは何でもやる。7日間の休校という判断だが皆さんの理解、協力をいただいて対応したい」と述べました。
そのうえで鈴木知事は、「やりすぎではないかという批判もあるかも知れないが、政治判断は結果がすべてだ。私自身が責任を負うので理解と協力をいただきたい」と述べ、理解を求めました。
【七飯町では】
道南の七飯町では60代の町議会議員の男性が新型コロナウイルスに感染していて、町内でも多数の濃厚接触者が確認されています。
道教育委員会が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためすべての小中学校を一定期間、臨時休校するよう各市町村に通知したことを受けて、七飯町の教育委員会は26日、市内の公立小中学校の校長を集めた会議を開き、町内10校すべての小中学校を27日から来月8日まで休校とすることを決めました。
ただし、高校受験を控えた中学3年生については、来月2日と3日の2日間は午前中に補習を行うことにしているほか、不足する授業時間については、今後対応を検討するということです。
七飯町教育委員会学校教育課の竹内圭介課長は「町内で感染者が出ていることもあり、今回の対応を決めた。学校内での感染拡大を防ぐための措置なので町民にはご理解いただきたい」と話していました。
町内の小中学校が27日から臨時休校となることが決まったことを受け、町内の保護者からは不安の声も聞かれました。
町内の小学校に通う小学2年の息子がいる女性は、「息子は学校が休みでうれしそうですが、母親としてはあすから急に家にいられると困ってしまいます。感染拡大防止のためにはしかたないのかもしれませんが、授業が遅れるのも心配なので本当は学校に行ってほしい」と話していました。
【多くが休校へ】
北海道教育委員会が道内の小中学校を27日から1週間、臨時休校にするよう市町村の教育委員会に要請したことを受けて、札幌市以外のすべての市町村の公立の小中学校が27日以降、休校することになりました。
一方、札幌市教育委員会は休校するかどうか検討しているということです。
実際に休校するかどうかの判断は各市町村の教育委員会などが行うことになっていますが、NHKが道内すべての教育委員会に取材したところ、ほとんどの市町村で公立の小中学校が27日から来月4日までの1週間、臨時休校することを決めたということです。
また、▼芦別市や、オホーツク海側の大空町と清里町は、保護者への説明など準備の時間が必要だとして、28日からの1週間としています。
このほか十勝などでは、休校する期間を具体的に決めていない自治体もあるほか、▼江別市と上川の愛別町それに比布町では来月6日まで、▼苫小牧市と道南の七飯町、知内町では来月8日まで期間を長くとっているところもあります。
一方、札幌市教育委員会は道教育委員会の要請を受けて休校するかどうか検討しているということです。
道教育委員会は休校の情報について、市町村の教育委員会や学校などに確認するよう呼びかけています。
【街の声】
北海道教育委員会が道内すべての小中学校の臨時休校を要請したことについて、札幌市の60代の男性は、「学校の関係者が感染したと聞き不安だ。子どもは無防備だと思うので休校はいい考えだ」と話していました。
同じく札幌市の30代の女性は、「子どもを持つ親としては集団で感染するリスクを抑えるためには必要な判断だと思うが、共働きの家庭は仕事をそんなに休めないので子どもがいつまで休みなのかなど、不安もあるのではないか」と話していました。
札幌市の小学校4年生の女の子は、「学校でも話題になってる。インフルエンザも流行していてみなせきなどをしているので、臨時休校にするのは良いことだと思います」と話していました。
一方、来月8日までサービスを休止する苫小牧市の「放課後児童クラブ」に子どもを預けている30代の父親は、「自営業なので、自宅で子どもたちの面倒をみることができますが、共働きの親は困ると思います。ただ、新型コロナウイルスへの対応としては仕方ないと思います」と話していました。
【中学校の現場では】
新型コロナウイルスの学校現場への感染拡大を受け、苫小牧市では27日から臨時休校する中学校で生徒への対応に追われていました。
新型コロナウイルスの学校現場への感染が拡大する中、苫小牧市は道からの要請を受け、27日から来月8日まで市内のすべての小中学校を臨時休校にすることを決めました。
このうち「市立ウトナイ中学校」の高校受験を控えた3年生のクラスでは、担任の教諭が27日から休校になることを生徒たちに説明しました。
そして、来月4日の道立高校などの入学試験の説明資料を前倒しで配布したほか、受験日までに新型コロナウイルスに感染した場合には、速やかに中学校に連絡するよう説明していました。
中学3年の男子生徒は、「受験は自分で体調管理していれば大きな問題はないと思っている。手洗いやうがい、アルコール消毒などを毎日欠かさずしていきたい」と話していました。
3年生を担当する男性教諭は、「休校はやむを得ないと思う。体調を整えて元気な状態で高校入試を迎えて欲しい」と話していました。
【教育長は】
北海道教育委員会の佐藤嘉大教育長は記者団に対し、「一斉に休校を要請したことに対して賛否の声があることは理解している。全道的に感染が拡大する中、保護者にも児童、生徒にも理解してもらいたい。ただ休校については各市町村の判断もあるので、それぞれの判断に任せたい」と述べました。
【町村長からも発言相次ぐ】
北海道町村会の会合で、道からの休校要請について町村長から発言が相次ぎました。
このうち、十勝の本別町の高橋正夫町長は「小中学校を休校させると、保護者が児童と一緒にいなければならない。放課後の学童保育や保育所の活動をどうするかまで考えるべきだ」と述べました。
また、石狩の当別町の宮司正毅町長は「感染をいかに拡大させないかという観点で、小中学校を休校することは評価する。感染拡大を止めるためには感染者の行動ルートや町村名まで含めてできるだけ情報を公表するべきだ」と指摘しました。
【文科相「リーダーシップに敬意」】
萩生田文部科学大臣は、記者会見で、児童や教諭などに感染が確認された北海道で、道の教育委員会が道内すべての小中学校に対し27日から1週間、臨時休校にするよう市町村の教育委員会などに要請したことについて、萩生田大臣は「直接の感染者がいない自治体も含めて、1週間をめどに休校を行うという判断をした知事のリーダーシップに敬意を表したい」と述べました。
その上で、ほかの自治体にもこうした判断が広がる可能性について「否定できないが、児童生徒の発症事例は今のところ北海道に集中している。他の自治体で同様の事態が起きて、首長が何らかの決断をするとすれば、しっかり支えていきたい」と述べました。