一般企業の広告が、児童ポルノ画像などを集めたインターネットの違法サイトに掲載され、サイト管理者の収入源になっている。
約3年間に7億5000万円もの広告料を稼いだ管理者もおり、警察庁が違法サイトへの広告掲載に歯止めをかける対策に乗り出した。
◆画像をエサ
銀行や化粧品会社、家電メーカー……。あるサイトには、多くの企業広告が掲載されていた。いずれも商品や企業の信用性をアピールする狙いだが、このサイトは実は、わいせつ画像ばかりを集めた違法サイトだ。警察庁によると、テレビドラマのコピー映像や薬物売買に関する情報などを扱う違法サイトにも、企業広告が載るケースがある。
企業は広告を出す際、「若者がよく見る」などの条件を示し、広告配信会社が条件に合うサイトを選んで広告を載せる。サイトの閲覧数が増えると、管理者が受け取る広告収入も多くなるのが一般的で、警察庁の担当者は「悪質な管理者が、わいせつ画像などをエサに閲覧数を増やそうとしている」と指摘する。
警察庁が2011年までの2年間に児童買春・児童ポルノ禁止法違反などで摘発された18サイトを調べたところ、13サイトに企業広告が掲載され、広告収入は計9億9000万円に上った。中には、3年余りで7億5000万円の広告収入を得ていた管理者もいた。
◆実態つかめず
「違法サイトとは気づかずに、広告を出してしまうこともある」。広告配信会社など156社が加入する「インターネット広告推進協議会」(東京)の担当者は、こう打ち明ける。
広告配信会社の多くは社内規定で、違法サイトへの広告掲載を禁じている。違法サイトでよく使われる言葉で検索し、広告を出したサイトに違法な情報が掲載されていないかどうかを調べている。
しかし、協議会の担当者は「管理者が巧妙に違法な情報を隠しており、違法サイトと見抜けないケースもある」と語る。普通の掲示板を装って広告の配信契約を結んだ後に違法な画像を貼り付けたり、検索されても見つからないよう隠語を使ったりする悪質なサイト管理者がいるためだ。
企業の中にも、自社の広告がどのサイトに掲載されているのか確認せず、広告配信会社に任せきりにしているところがあるという。