夏の節電対策で休暇を拡大したり、分散化したりする企業が増加することを見込み、大手旅行会社やホテルが国内外の長期滞在型の旅行プランを相次ぎ投入している。旅行大手のJTBは、北海道や長野などで30泊31日と長期滞在ながら宿泊費を抑えたプランを発売したほか、近畿日本ツーリストも北欧など気候が涼しい海外への長期ツアーを新設した。いずれも問い合わせが殺到、申し込みも増えている。
JTBは、昨年好評だった30泊31日まで可能な長期滞在プランを今年も売り出した。滞在先は全国27カ所。往復の交通費や食事代は別途必要だが、北海道・ニセコでは4人で1室を利用した場合、1人当たり6万9千円からと割安に設定。「今年もすでに予約が入り始めている」(広報室)という。
日本旅行も北海道の人気リゾートで最大7日間まで滞在しても5日分の料金で済む割安プランを新設。軽井沢プリンスホテルは、1年の有効期限のうち、コテージに10連泊可能な会員制プランを用意した。最大4人まで利用でき、「現在までに121件の利用があった」(広報室)としている。
一方、暑い日本の夏を避け、一気に気候が涼しい海外へ行ってしまおうというツアーを新設したのは近畿日本ツーリストだ。行き先はアイスランド、米アラスカ、北欧の3カ所。アイスランドでは8~10月の平均気温が10度前後と寒いほどだ。
同社では「節電効果につなげるため、家族全員で自宅を離れ、旅行してもらえるようなプランを意識した」(ブランド戦略室)と話す。
リゾート地での長期滞在は、節電と旅行の楽しさを両立できることもあり、新たな夏のライフスタイルとして人気が出そうだ。