避難所生活など生徒の視点で震災分析 仙台一高がリポート

東日本大震災で明らかになった問題について、仙台一高の1年生が調査研究を行い、リポートを文集にまとめた。テーマは避難所の食生活や衛生管理、支援物資の供給など多岐にわたり、多くの生徒が夏休みを使って被災地に通うなどして実態を調べた。それぞれのリポートには、震災と真剣に向き合った生徒たちの考察がつづられている。
 調査研究は1年生約320人が4人一組の80班に分かれて実施。昨年4月にテーマを決め、夏休みに仙台、石巻両市などで聞き取りやアンケートをした。
 避難所での生活では、複数の班がそれぞれ震災直後の食事や衛生管理について調査。不足しがちだった物資のリストを作ったり、切り干し大根などを使って効率的に栄養を摂取できる「乾物レシピ」を考案したりした。
 小平紘輝君(16)=名取市=は自宅が被災し、5日間、避難所で生活した。「砂が付いた靴が散乱し、不衛生だった」という印象が強かったため、避難所での感染症予防を研究テーマに選んだ。
 アンケートでも、避難所の衛生状態に不安を感じたという被災者が多かったため、小平君は医師の意見を聞き、「入り口にぬれたマットを置く」「シーツを小まめに取り換える」などの対策をまとめた。
 ほかにも、仙台市消防局などを訪ね、震災直後に支援物資を避難所ごとに仕分ける作業が滞った問題を調べたり、住宅メーカーに協力を求め、住宅・宅地の耐震性について研究したりした班もあった。
 文集づくりを担当した菅野正人教諭は「生徒たちは厳しい現実を受け止め、自分たちの視点で調査研究を成し遂げた。被災した人々が、どう困難の中を生き抜いたかを記録することで、次の災害への備えに生かしてほしい」と話している。
 文集はA4判157ページ。一般への配布はしていないが、宮城県図書館で閲覧できる。

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