防災対策や災害時の避難所運営に男女共同参画や子育て家庭の視点を生かそうと、宮城県はガイドブック「みんなで備える防災・減災のてびき」を作成した。東日本大震災の避難所対応で、女性や乳幼児への配慮不足が指摘されたことを踏まえた。市町村や自主防災組織などに活用してもらい、関係者の意識向上を図る。
日頃の防災訓練や学習会、災害発生直後の避難所や長期化した場合の避難生活など、場面に応じて配慮すべき留意点を盛り込んだ。
防災訓練については、性別や年齢など多様な層の参加を促す工夫の必要性を指摘。家庭や地域には、事前の備えとして粉ミルクや哺乳瓶、衛生用品など多様なニーズに対応できる備蓄品をそろえるよう求めている。
避難所では、運営の責任者に女性を加え、女性が意見や要望を出しやすい環境をつくるよう助言。女性用の更衣室や男女別のトイレ、授乳室などを設けるため、平時からレイアウトを検討しておくよう促した。
県が市町村を対象に実施した聞き取り調査で、東日本大震災時、女性や妊産婦などへの対応が地域や避難所によってばらつきがあり、不十分だったとの指摘が目立った。
県は関係者が認識を広く共有する必要があると判断。男女共同参画の専門家や自主防災組織の代表者、市町村の担当者による作成委員会を組織して「てびき」をまとめた。
各地の自主防災組織や自治会、市町村などに配布するほか、ホームページでも公開する。担当者らを対象に、てびきを活用した防災対策講座も開催する予定。
県共同参画社会推進課の担当者は「震災の反省点を踏まえ、さまざまな立場の人が関わることができる態勢づくりにつなげたい」と話している。